丸和運輸機関<9090>(東1)は、前日18日に20円安の4200円と小幅続落して引けた。前日場中に新型コロナウイルス感染症の東京都の新規感染者が、493人と過去最高となったと伝わり、日経平均株価が286円安と反落したことから、同社株も目先の利益を確定する売り物に押された。ただ、取引時間中には4275円と買われる場面もあり、現在同社が実施中の株式分割の権利を取る買い物も交錯した。今回の株式分割は、2014年の新規株式公開(IPO)以来5回目で、これまでの4回ではいずれも権利落ち後安値から大きく値上がりし権利落ち分を埋めており、連想買いされている。今2021年3月期業績が、上方修正され過去最高業績を連続更新することや、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が過去最高となったことも、巣ごもり消費関連株人気の再燃期待につながっている。
■IPO直後の2014年の株式分割では落ち後安値から3.5倍化
株式分割は、投資単位当たりの投資金額を引き下げることにより投資しやすい環境を整え、同社株式の流動性を向上させ投資家層の一層の拡大を図ることを目的にしている。今年12月31日を基準日に1株を2株に分割する。同社は、2014年4月のIPO以来、2014年9月、2015年9月、2017年9月、2019年9月を基準日に4回も株式分割を実施した。いずれも権利落ち後から大きく値上がりして権利落ち埋めを示現した。とくにIPO直後の2014年9月は、4025円で権利を落とし落ち後安値1717円から落ち後高値6100円まで3.55倍と大化けして権利落ち埋めてなお上値を追った。今回の5回目の株式分割でも、再現期待を高め権利取りの買い物が続いている。
一方、今2021年3月期業績は、今年11月2日に上方修正され売り上げ1100億円(前期比11.8%増)、営業利益79億円(同4.8%増)、経常利益81億円(同9.6%増)、純利益52億1000万円(同8.1%増)と続伸を見込み、連続の過去最高更新となる。2017年から取引を本格化させたアマゾン・ジャパン向けの宅配事業で、新型コロナウイルス感染症の拡大とともに「ECラストワンマイル当日お届けサービス」の需要が拡大し、食品物流事業でも外出自粛により内食傾向の高まりで物量が増加したことなどが寄与する。
■25日線出没の三角保ち合いを上放れ高値抜けから上値チャレンジ
株価は、年初の2463円高値からコロナ・ショック安に巻き込まれて1591円安値まで売られ、巣ごもり関連株人気を高めて底上げ、今期第1四半期の好決算で4390円高値をつけ、今期業績の上方修正と株式分割の発表で4815円までさらに上値を追い、足元では25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続けてきた。株式分割の権利取りとともに株価も、三角保ち合いを上放れ4815円高値を奪回し上値チャレンジに弾みをつけよう。
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2020年11月19日