荏原実業<6328>(東1)は、前日7日に85円安の3730円と6営業日ぶりに反落して引けた。日経平均株価が、203円安と続落したことから、今年11月17日につけた上場来高値3855円近辺で保ち合っていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ取引時間中の安値からは50円切り返して引けており、下値には12月期期末を前に増配した今期配当の権利取りが交錯した。今2020年12月期業績が上方修正され2期ぶりに過去最高純利益を更新することがフォローしており、新型コロナウイルス感染症の国内新規感染者や重症者が過去最高ペースで推移していることから、上方修正要因となった陰圧装置や除菌装置への関連需要の拡大期待も高めている。
■コロナ禍関連で簡易陰圧装置、除菌装置の受注が拡大
同社の今2020年12月期業績は、期初予想より売り上げを5億円、営業利益を6億5000万円、経常利益を6億8000万円、純利益を4億円それぞれ引き上げ、売り上げ300億円(前期比5.5%増)、営業利益28億円(同38.3%増)、経常利益29億5000万円(同36.0%増)、純利益20億円(同32.2%増)と増収増益転換を見込み、純利益は、2018年12月期の過去最高(16億円)を2期ぶりに更新する。民間設備投資部門は、新型コロナウイルス感染症の影響で伸び悩んだが、公共投資部門が底堅く推移し水処理セグメントでは上下水道設備の更新、防災関連の売り上げ増加、環境セグメントでは、コロナ禍対応で簡易陰圧装置やオゾン室内消毒装置などの受注が大きく伸びたことなどが寄与した。
業績の上方修正とともに期末配当を30円から70円に引き上げ、年間配当を100円(前期実績60円)へ大幅増配を予定している。なお同社は「トータル環境ソリューションカンパニー」として積極的な中期経営計画も推進しており、最終年度の2023年12月期に売り上げ350億円、営業利益30億円を目指しており、来2021年12月期業績も続伸が予想される。
■四半期好決算のたびに上値を拡大もまだPER11倍、配当利回り2.6%
株価は、コロナ・ショック安に巻き込まれて年初来安値1770円へ突っ込んだが、防疫関連株人気の高まりで底上げ、今期第1四半期の好決算で2954円高値、同第2四半期好業績で3385円高値とそれぞれ買われ、業績の上方修正・増配とともに上場来高値3855円まで上値を伸ばし高値保ち合い中である。高株価にもかかわらずPERは11倍台、年間配当利回りも2.68%となお出遅れており、配当権利取りのインカム・ゲインとともに値幅取りのキャピタル・ゲイン期待も高め一段の上値チャレンジが想定される。
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2020年12月08日