マクニカ・富士エレホールディングス<3132>(東1)は、前日9日に44円高の2057円と6営業日ぶりに急反発して引け、取引時間中には一時2080円まで買われ、12月2日につけた年初来高値2145円を射程圏に捉えた。今2021年3月期予想業績が上方修正させ、大幅増益転換することを見直し割安株買いが再燃した。新規事業として、新型コロナウイルス感染症関連ではAI体温検知ソリューションを提供し、自動運転では地方自治体向けに自動運転バスの定常運転を開始したことも材料株人気の再燃を期待させている。
■集積回路・電子デバイスが5G・データセンター向けに需要拡大
同社は、今年9月に今2021年第2四半期(2020年4月〜9月期、2Q)累計業績を上方修正し、2Q累計業績がこの上方修正値を上ぶれ着地した11月2日に、今度は3月期通期予想業績を上方修正した。3月通期予想業績は、今年6月に開示した予想業績より売り上げを220億円、営業利益を19億5000万円、経常利益を31億円、純利益を21億円それぞれ引き上げ、売り上げ5220億円(前期比0.2%増)、営業利益145億5000万円(同0.7%増)、経常利益138億円(同24.6%増)、純利益86億円(同52.7%増)と増収増益転換し、市場コンセンサスを上回った。
集積回路及び電子デバイス事業では、5Gやデータセンター向けの需要が伸び、産業機器のFA装置や半導体装置向けの需要も堅調に推移し、ネットワーク事業では、コロナ禍に伴う巣ごもり需要でクラウド関連製品の需要が旺盛となり、クラウドサービス拡大からセキュリティ関連製品が伸長したことなどが要因となった。
なおAI体温検知ソリューションは、Jリーグで今年すでに優勝を決めている川崎フロンターレに提供し、マスクを着用していても検温が可能で、同時に30人を測定、測定時間は一人1秒と従来方式に比べ6分の1になることを実証した。また自動運転バスは、今年11月26日から茨城県境町で生活路線バスとして運行を開始し、住民の足として無料利用されている。
■ミニGC示現で上昇トレンド転換しPER14倍、PBR0.9倍修正に再発進
株価は、コロナ・ショック安に巻き込まれて突っ込んだ年初来安値1149円から自己株式取得発表で底上げ転換し、前期業績の上ぶれ着地で1600円台を回復し、今期2Q累計業績の上方修正で1999円高値、今期通期予想業績の上方修正では窓を開けて年初来高値2145円まで上値を伸ばした。この間、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化してスピード調整中で、25日線で下値を確認したところである。PERは14倍台、PBRは0.96倍と割安であり、年初来高値抜けから2018年2月につけた上場来高値3325円を目指そう。
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2020年12月10日