不二精機<6400>(JQS)は、12月7日の取引時間中につけた年初来安値503円から底上げしている。岸田文雄首相が、12月6日召集の臨時国会で新型コロナワクチンの3回目の接種を前倒しすると表明したことを手掛かりに同社の注射器などの医療機器用金型への特需発生を期待して売られ過ぎ修正買いが増勢となった。今2021年12月期業績が、今年11月12日に上方修正され、純利益が過去最高更新と予想され、大幅増配を予定していることも見直されている。
■注射器など医療機器関連の精密金型が順調に検収手続き
同社の今12月期業績は、売り上げを期初予想より3億300万円、営業利益を9400万円、経常利益を1億5100万円、純利益を9700万円それぞれ引き上げ、売り上げ74億8300万円(前期比26.6%増)、営業利益5億4400万円(同92.2%増)、経常利益5億5400万円(同3.90倍)、純利益4億7000万円(同4.74倍)とV字回復が予想され、純利益は、2001年12月期の過去最高(4億4800万円)を20年ぶりに更新する。精密金型事業では、注射器などの医療関連機器を中心に顧客向けの検収手続きが順調に進み、精密形成品事業でも東南アジア向けを中心に自動車関連製品が回復し、インドネシア子会社の外貨建て債権の評価替えも、前期の差損から今期は差益に変わることなどが要因となっている。
配当は、普通配当5円に純利益が過去最高を更新することから記念配当5円を上乗せ、年間10円(前期実績5円)に大幅増配を予定している。
■PER8倍、25日線から7%超の下方かい離を修正しまず600円回復
同社の株価は、業績と材料株人気が交錯し逆相関して推移している。前期は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で自動車生産が落ち込み業績も低調となった。ただ株価は、コロナワクチン接種開始を前に注射器用金型の特需発生を先取りして再三のストップ高を交えて上場来高値1670円まで5.4倍の急騰を演じた。今期は、逆に業績が四半期決算の発表のたびにV字回復を示して着地し、第3四半期決算発表の今年11月には業績を上方修正したものの株価は戻り売りが厚く年初来安値更新となった。PERは8倍台、テクニカル的にも25日移動平均線から7%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、一段と底上げまず600円台回復から今期第1四半期決算発表時につけた今年5月高値754円を目指そう。
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2021年12月09日