ニチモウ<8091>(東1)は、前日21日に48円高の2363円と続急伸して引け、12月20日の取引時間中につけた年初来高値2447円に肉薄した。12月17日に来2023年3月期から推進する新中期3カ年計画を発表、同社の経営方針の「浜から食卓までを網羅して繋ぐ」をより進化・高度化させる積極的な計画となっており、今年11月5日に発表した今2022年3月期業績の上方修正、増配に次ぐ追撃材料となって割安修正買いが増勢となった。同社が、東証1部低PERランキングの第16位にランクインしていることも、改めて見直されている。
■3つの「繋ぐ」を積極展開し海外比率を高め配当性向もアップ
同社の新中期経営計画は、漁網・漁具資材の提供からスタートし培った技術、ノウハウを100年以上にわたって食品事業、機械事業などへ多角化して実現してきたビジネスモデル「浜から食卓までを網羅して繋ぐ」をさらに進化・高度化させるため3つの「繋ぐ」を推進する。「未来へ繋ぐ」では事業規模拡大により企業価値を高め、「事業を繋ぐ」では、グループ内事業の連携を強化するほか海外売上比率をアップさせ、「人を繋ぐ」ではIR(投資家広報)活動により株主との関係を強化し、配当性向を段階的に30%に引き上げることなどを目指す。
とくに海外展開は、日本国内では水産業は縮小傾向にあるが、海外では成長産業であり、海外売上比率を2021年3月期の13.4%から20%に高める。業績目標は、現行の中期計画が、最終年度の今2022年3月期に目標業績を上回って着地する見込みにあることを受け、新中期計画の最終年度の2025年3月期の業績は、売り上げ1300億円、営業利益21億円、経常利益23億円と計画している。
一方、今2022年3月期業績は、期初予想より売り上げを100億円、営業利益を8億円、経常利益を7億円、純利益を5億円それぞれ引き上げ、売り上げ1200億円(前期比5.8%増)、営業利益28億円(同28.6%増)、経常利益30億円(同27.0%増)、純利益21億円(同40.8%増)と見込み、期初の減収減益転換予想が増収増益となる。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景にした巣ごもり需要の拡大で食品事業、機械事業が好調に推移したことなどが要因となっている。配当は、中間期、期末とも期初予想の30円から40円に引き上げ、年間80円(前期実績50円)と増配幅の拡大を予定している。
■PERはわずか3倍評価、PBRも0.4倍、配当利回りも3.3%と割安
株価は、順調な今期第1四半期決算の発表で上ぶれ、今期業績の上方修正・増配では2295円高値まで買い進まれ、その後の2000円大台固めからは中期経営計画の発表で急動意となり年初来高値2447円まで買われスピード調整中である。PERは3.85倍と東証1部低PERランキングの第16位にランクインいるほか、PBRも0.47倍、年間配当利回りも3.38%と割安であり、一段の上値評価が期待される。
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2021年12月22日