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2022年08月05日

ゼリア新薬工業は23年3月期1Q大幅増益、通期上振れの可能性

(決算速報)
 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は8月4日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。通期予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は7月の年初来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q大幅増益、高進捗率で通期上振れの可能性

 23年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円、今期は為替差損1億03百万円)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。

 医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は、売上高が24.7%、営業利益が42.5%、経常利益が42.5%、親会社株主帰属当期純利益が46.4%だった。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は7月の年初来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。8月4日の終値は2080円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1105億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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