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2022年10月31日

【どう見るこの相場】WSJは当たり屋か曲がり屋か?どちらに転んでも割安半導体関連株は先取りも一法

 「米国がくしゃみをすれば、日本は風邪をひく」といわれ続けてきた。東京市場が、米国市場に振り回されるコピー市場にしか過ぎないとするお定まりの自虐フレーズである。ところがこの市場センチメントが、足元でやや変わっているようにみえる。米国が「くしゃみ」をしても、日本は「風邪」の一歩手前の「せき」くらいで収まるとの見方や、あるいは「米国のインフレの熱が下がれば、日本は即退院してフルマラソン」などの極論さえ漏れ聞こえてくるのである。

 株価自体も、米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、9月の年初来安値からの出直りに対して、日経平均株価の10月安値は、今年6月の二番底を前に踏み止まり、3月の年初来安値を上回っており、この比較感も働いているのかもしれない。いずれにしろ両市場の出直りが、短期売買の売り方の買い戻し中心の需給相場から、中長期投資のニューマネーがどれだけ市場に流入するか競い合い、今後の相場の方向とスケールを決めるようになるなら願ってもない展開になる。

 この市場センチメントには、日米両市場共通のカタリスト(材料)がある。やっぱり米国市場頼みが、米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇一服、低下である。10月21日付けのウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道通りにFRB(米連邦準備制度理事会)が、みょう1日と2日に開催されるFOMC(公開市場委員会)で政策金利の引き上げペースの減速を検討するかどうかである。2日には結果発表が控えており、11月の0.75%の利上げが、12月13日〜14日開催の次回FOMCで利上げ幅が0.5%にスローダウンすると示唆されWSJが当たり屋となれば、年末に向けてのクリスマス・ラリーの期待が高まり、カラ振りの曲がり屋に終わればクリスマス・セールを覚悟しなければならないことになる。

 軽々に予断を許さないが、ここはまず当たり屋のWSJ紙乗りである。相場セオリーでは、長期金利低下時にはハイテク系の高PERのグロース株(成長株)、長期金利上昇時はディフェンシブ系の低PERのバリュー株(割安株)が有利と教えている。当たり屋乗りならグロース株である。そこで今週の当特集では、グロース株の一角でこのところ市場人気の圏外に置かれていた半導体関連株に注目することにした。業績発表が先行スタートした米国市場では、主力ハイテク株が決算動向により株価上昇と急落が交錯し明暗マチマチとなってきたが、前週末28日にはアップル、インテルが決算好感で大幅高しており、フィラデルフィア半導体株指数も、3.98%高と3日ぶりに急反発したからだ。

 東京市場でも、四半期決算の発表に絡んで半導体関連株は悲喜こもごもの株価推移となった。キヤノン<7751>(東証プライム)は、3回目の業績修正が前2回の上方修正と異なり一部下方修正となってことで急落し、日東電工<6988>(東証プライム)も、第2四半期業績が今年7月の上方修正値を下ぶれて着地したことで大きく売られた。一方、勝ち組では、業績を上方修正したイビデン<4062>(東証プライム)が、東証プライム市場の値上がり率ランキングの第3位にランクインし、7月の上方修正値を上ぶれて着地した第2四半期業績を発表した新光電気工業<6967>(東証プライム)が、同第11位と買われた。また信越化学工業<4063>(東証プライム)は、業績を上方修正し一時290円高したものの、大引けではマイナスと続落した。

 以上の株価動向から次の問題は、きょう週明けにギャップアップしてスタートするのが有力な半導体関連株のどの銘柄をターゲットとするかである。高PER株もグロース株として投資許容範囲内となるが、仮に11月のFOMCの結果がWSJ紙の観測報道と異なり曲がり屋となるケースもあると想定すれば、バリュー株寄りの関連株が望ましい。さらに決算発表もいよいよピークを迎えるタイミングを考慮すれば、業績を上方修正する可能性のある銘柄の優先順位が高い。このスクリーニング条件を充足する銘柄として今年7月〜8月に今期業績を上方修正した割安株が第1候補となり、四半期決算の発表日をウオッチしつつ先取り買いも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:56 | どう見るこの相場