IDOM<7599>(東証プライム)は、前日1日に10円安の735円と3営業日続落して引けた。同社株は、今年10月14日に今2023年3月期業績を上方修正したが、なお売り上げ、営業利益、経常利益が前期比マイナスにとどまり市場コンセンサスを下回ったことで下値を探る展開が続いた。ただ純利益は、増益をキープし連続の過去最高更新を見込んでおり、このところの下値模索場面で信用売り残・買い残とも積み上がり拮抗していることを手掛かりに下げ過ぎ修正買いが再燃する可能性もある。前日1日に決算を発表したトヨタ自動車<7203>(東証プライム)が、今期の世界生産台数を下方修正したことも、新車納車が遅れ中古車販売にプラスに働くとして側面支援材料視されよう。
■オークション相場の上昇が続き純利益には株式売却益が上乗せ
同社の今2月期業績は、期初予想より売り上げを432億円、営業利益を15億円、経常利益を16億円、純利益を12億5000万円それぞれ引き上げ、売り上げ4100億円(前期比10.8%減)、営業利益170億円(同8.0%減)、経常利益164億円(同6.6%減)、純利益128億5000万円(同19.0%増)と見込み、期初予想の減収減益転換率を縮小させる。オークション相場が、想定を超える相場となって車両価格が上昇し、卸売台数も想定の5万台を超える5万5289台と続伸し、小売台数の台当たりの粗利も上昇したことが要因となっている。ただ前期に売り上げ1393億6400万円、営業利益49億3500万円を計上した欧州車を新車販売する豪州の子会社2社を売却し、この2社の今期業績の連結寄与が3カ月にとどまった影響で売り上げと営業利益、経常利益は前期比マイナスとなる。その半面、豪州子会社の売却益7億9500万円を計上することから純利益はプラス幅を拡大させ、前期に続く過去最高となる。
同社は、「ガリバー」を展開する中古車チェーン店の国内トップで、中古車は、半導体不足やサプライチェーン問題による自動車メーカーの生産停滞・減産に伴い新車納付の遅れや物価高騰に対応した価格有利性などでリユース関連人気が高まっている。今回のトヨタの世界生産台数の970万台から920万台への下方修正も、中古車人気の継続とともに先行きの同社業績の期待をさらに高める展開が見込まれる。
■PER5倍、配当利回り4%、信用倍率1.9倍で年初来高値に再挑戦
株価は、前期配当の権利落ちとウクライナ情勢緊迫化による世界同時株安でつけた年初来安値557円から売られ過ぎ修正で789円までリバウンドし、今期業績の伸び悩み予想が響いて597円安値まで再調整した。同安値からは今期第1四半期の増収増益着地や豪州子会社売却益計上で869円へ買い直され、中古車のリユース人気を高め年初来高値933円まで買い進まれた。ただその後の業績上方修正も、なお減収減益転換は変わらないと利益確定売りに押され729円安値まで下値を探り、この間、信用売り残・買い残とも増加し信用倍率は1.9倍と拮抗している。PERは5.7倍、年間配当利回りは4.4%と割安であり、売り方と買い方の攻防のなか年初来高値奪回へ再チャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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2022年11月02日