(決算速報)
日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は1月31日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。売上面はコロナ禍の影響が和らいで2桁増収だが、利益面は人件費や支払手数料の増加、為替の円安影響などで減益だった。そして通期減益予想を据え置いた。整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があり、業績も下期の構成比が高い季節特性がある。さらに為替が円高方向に傾いていることも寄与して第4四半期以降の収益改善を期待したい。株価は昨年来安値を更新する軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。23年3月期減益予想は織り込み済みであり、出直りを期待したい。
■23年3月期3Q累計減益、通期も減益予想だが4Q改善期待
23年3月期第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比11.8%増の156億24百万円、営業利益が24.1%減の15億10百万円、経常利益が21.1%減の15億43百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が30.3%減の11億38百万円だった。
売上面はコロナ禍の影響が和らいで2桁増収だが、利益面は、為替の円安影響、国内における償還価格引き下げの影響、国内体制強化に伴う人件費の増加、米国売上増加に伴う支払手数料(コミッション・ロイヤリティ)の増加、円安に伴う米国での費用(円換算後)の増加などで減益だった。売上原価率は34.1%で2.0ポイント上昇、販管費比率は56.2%で2.5ポイント上昇した。営業外では為替差損益が改善(前年同期は為替差損10百万円、今期は為替差益61百万円)したが、持分法投資損失が増加(前年同期は10百万円、今期は42百万円)した。特別利益では前期計上の債務免除益3億06百万円が剥落した。
セグメント別(調整前)に見ると、日本国内は売上高が2.8%増の89億80百万円で営業利益が33.5%減の8億24百万円だった。売上面では22年4月の償還価格引き下げの影響で症例単価が下落したが、獲得症例数が増加して増収だった。利益面は体制強化に伴う人件費増加などで減益だった。米国は売上高が18.2%増の94億01百万円で営業利益が18.6%減の5億81百万円だった。米国の外部顧客向け売上高は米ドルベースで4.3%増、円換算後で26.8%増の66億44百万円だった。売上面は既存顧客向け各種拡販施策の効果で症例数獲得数が順調に増加した。また、上期に発生したサプライチェーン上の構造問題が改善傾向となり、中断していた新規顧客への製品供給を順次開始した。
なお医療機器類の分野別・地域別売上高は、人工関節分野が16.8%増の100億59百万円(日本が1.5%増の34億46百万円、米国が26.7%増の66億13百万円)、骨接合材料分野(日本)が5.8%増の30億96百万円、脊椎固定器具分野が2.8%増の23億88百万円(日本が2.4%増の23億57百万円、米国が57.2%増の30百万円)、その他(人工骨含む、日本)が19.4%減の2億60百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が50億27百万円で営業利益が4億98百万円、第2四半期は売上高が49億62百万円で営業利益が4億29百万円、第3四半期は売上高が56億35百万円で営業利益が5億83百万円だった。
通期の連結業績予想(22年10月31日付で下方修正)は据え置いて、売上高が22年3月期比13.6%増の218億円、営業利益が24.9%減の20億円、経常利益が20.9%減の20億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が32.1%減の14億50百万円としている。下期の想定為替レートは1米ドル=150円(前回予想は1米ドル=128円)である。配当予想は1円増配の13円(期末一括)としている。連続増配予想である。
売上面では日本国内が堅調に推移し、上期に発生した米国の新規顧客との取引開始延期は既に解消しているが、引き続き一部の既存顧客について医療スタッフ不足で症例数計画を下回っていること、競合他社による人工股関節新製品投入によって販売競争が激化したことなどが影響し、利益面では想定以上の為替の円安が影響して売上原価率が悪化する見込みとしている。ただし整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があり、業績も下期の構成比が高い季節特性がある。さらに為替が円高方向に傾いていることも寄与して第4四半期以降の収益改善を期待したい。
■株価は売られ過ぎ感
株価は昨年来安値を更新する軟調展開だが売られ過ぎ感を強めている。23年3月期減益予想は織り込み済みであり、出直りを期待したい。1月31日の終値は865円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円96銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の13円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS810円59銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約229億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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2023年02月01日