■株価は煮詰まり感を強めて上放れを意識
群栄化学<4229>(東証プライム)は、9月20日に今2024年3月期の第2四半期(2023年4月〜9月期、2Q)累計業績と通期業績の上方修正を発表し、V字回復を鮮明化させたとして年初来高値3665円まで買い進まれたが、通期業績の上方修正幅が、2Q累計業績より小幅にとどまるほか、全般相場の波乱も波及して3085円まで売られた。その10月31日に予定している2Q累計決算の発表を前に通期業績の再上ぶれを催促して割安株買いが再燃している。テクニカル的にも、上値抵抗線となっている25日移動平均線を前にした三角保ち合いに煮詰まり感を強めており上放れが意識されている。
■フェノール樹脂が好調に推移し製品価格改定効果も上乗せ
同社の今3月期通期業績は、売り上げを期初予想より10億円引き下げたが、営業利益と経常利益を各5億円、純利益を4億円引き上げ、売り上げ310億円(前期比1.2%減)、営業利益24億円(同44.6%増)、経常利益26億円(同34.0%増)、純利益18億円(同49.8%増)と大幅増益転換を見込んだ。利益の上方修正幅は、2Q累計業績の修正幅より各1億円小幅にとどまる。上期は、ディスプレイ向けや倉庫などの非住宅用断熱材向けのフェノール樹脂が好調に推移し、前期に複数回実施した製品価格の値上げ効果も寄与したが、下期は、半導体市況の回復の遅れや中国経済の悪化などを懸念して慎重な業績予想になった。
このため10月31日に予定している決算発表で、2Q累計業績が、9月20日の上方修正値を上ぶれて着地するか、3月期通期業績の再上ぶれがあるのかないのかなどが注目されている。なお同社の配当は、過去13期連続で減配がなく、今期配当も前期横並びの年間90円が予定されている。
■PER11倍、PBR0.4倍の修正で三角保ち合いを上放れ年初来高値奪回に再発進
株価は、今年7月に開示した今期第1四半期のV字回復業績をテコに3620円と買われて600円高し、今期業績の上方修正とともにさらに年初来高値3660円と上値を伸ばしたが、全般波乱相場の波及で25日移動平均線を下に突き抜けて3085円へ急落した。同安値から25日線にタッチする3400円までリバウンドし、3160円と下ぶれるなど三角保ち合いを続けてきた。PER11.7倍、PBR0.47倍の修正で三角保ち合いを上放れ、年初来高値3660円を目指し再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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2023年10月18日