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2023年12月10日

【小倉正男の経済コラム】日銀 マイナス金利解除に向かうのか?

■11月雇用は堅調、利下げ時期はやや後退

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 米国の農業分野以外の雇用者は、11月19万9000人の増加となった。事前予想は18万人強であり、それを上回ったことになる。ただし、想定圏内の上振れという見方が一般的である。

 失業率は3・7%(前月3・9%)と小幅改善になっている。平均時給は前月比0・4%(前月0・2%、前年同月比4・0%)、こちらも前月比で小幅だが上昇している。労働需給の逼迫、インフレの一因となっている人手不足、賃金アップはピーク時に比べると緩和されている。だが、雇用は堅調を維持している格好だ。

 米国の景気(経済)は地力の強さをみせている。利上げは収束し、むしろ利下げの時期が議論されている。景気後退が顕著になれば利下げ時期が早まる。新年の景気下振れを懸念する見方は少なくないが、雇用を見る限りでは景気は急低下とはなっていない。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、利下げ時期の議論について「時期尚早」と牽制している。利上げが終了したとすれば、利下げが騒がれるのは仕方ない。だが、米国景気の堅調から利下げ時期は新年の半ばあたりにやや後退といわれている。

■植田総裁の「チャレンジング」、マイナス金利解除に転換か

 日本のほうは日本銀行の植田和男総裁の「チャレンジング発言」により、国債、為替、株式市場とも乱高下となり大荒れの状態となっている。

 植田総裁は国会(参院財政金融委員会)で金融政策の所見についてこう発言している。

 「チャレンジングな状況が続いておりますが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」(12月7日)。

 植田総裁はその発言後に岸田文雄総理と会談、「金融政策の基本的な考え方を説明した」としている。

 これらの動きは、日銀がマイナス金利の早期解除に転換したかという思惑を呼んだわけである。利上げとなれば、アベノミクス以前のことであり、日本としては17年ぶりである。日銀とすれば、政策転換になる。

 しかも、「年末から来年にかけて」と時期を特定している。わざわざ「年末から」と言明しているのだから、各市場が乱高下の大荒れになるのはしごく当然である。

■日銀の「チャレンジング」とはどこに向かうのか?

 植田総裁の発言は、マイナス金利解除の衝撃、混乱を緩和するためにプロセスとして狙った意図的な行動なのか。あるいはハプニングというか、そうではないのか。なんともそのあたりはいまひとつ不明だ。

 問題は7〜9月期GDP改定値が年率換算2・9%減とマイナスであることだ。物価変動の影響を除いた実質GDPで、7〜9月期は前四半期(4〜6月期)比0・7減。これを年換算すると2・9%減のマイナス成長になる。

 7〜9月期のマイナス成長は、前四半期(1・2%、年率換算4・8%)が好調過ぎた反動という見方がある。だが現状は控えめにいっても、悲観、楽観が交錯している。賃上げは行われたがインフレ率が大きく上回っており国内の消費が低下している。外需も中国の景気低迷が響いており、設備投資が軟調になっている。7〜9月期のマイナス成長についてはそうした要因がある。

 企業決算ベースでも、インフレの価格転嫁が進行している企業、価格転嫁が不十分あるいは遅れている限界企業の二極化が見られる。前者は上方修正、後者は下方修正に進んでいる。いわばまだら模様だ。

 そんな状況でマイナス金利解除、利上げはできるのか。あるいはFRBの利下げ前にマイナス金利緩徐を行うということか。FRBが利下げしたら、日銀がマイナス金利解除に動くのは困難になりかねない。はたして日銀の「チャレンジング」とは、どこに向かっているのか。(経済ジャーナリスト)

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営〜クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 17:25 | 小倉正男の経済コラム