■投資採算的に割安な銘柄に注目
今週の当コラムは、「稼ぐ力」を象徴する手っ取り早い指標のEPSと、上場会社が投資家の投下した資本に対してどれだけの利益を上げたか算出するROE(自己資本利益率)のランキングの上位銘柄のうち、投資採算的に割安な銘柄に注目することにした。足元の全般相場は、前週末のダウ工業株30種平均(NYダウ)が、3日ぶりに反落し、日経平均株価が、33年11カ月ぶりの高値となった東京市場でも、投資家の市場への心理状態を表す恐怖指数(VIX指数)が、22.40と巡航速度の20を超えており、なお紆余曲折も想定されるところだが、潜在アピール・パワーを期待したい。
■EPSランキング上位では株式分割、増配、自己株式取得などの還元策も多数
EPSランキングで業績を下方修正した銘柄を除外した割安株のベスト10は、以下の通りである。EPS2078.81円でランキング第2位の岡谷鋼機<7485>(名証プレミア)以下、光通信<9435>(東証プライム)、松本油脂製薬<4365>(東証スタンダード)、黒崎播磨<5352>(東証プライム)、芙蓉総合リース<8424>(東証プライム)、スバル興業<9632>(東証スタンダード)、フルヤ金属<7826>(東証プライム)、しまむら<8227>(東証プライム)、大東建託<1878>(東証プライム)と続き、大東建託の予想EPSは1070.00円である。株価は、5ケタの値がさ株で昨年来高値・上場来高値を更新中の銘柄が多いが、PERは7倍〜14倍台に分布し一番高いしまむらでも15.5倍と日経平均株価構成銘柄の全銘柄平均を下回る。
また株主還元策にも積極的でスバル興業としまむらは株式分割を予定し、光通信は増配と自己株式取得、大東建託は自己株式取得、黒崎播磨は、今期業績を2回上方修正し2回増配している。またフルヤ金属は、昨年12月6日に東証スタンダード市場からプライム市場に市場変更しており、これに関連して実施した新株式発行・株式売出しの発行価格9139円を上回っている。
■ROEランキングでは値ごろ妙味の小型株、新興市場株が浮上
ROE(前期実績)ランキングでは、EPS同様の条件でスクリ−ニングされる割安株ベストセブンは、小型株・新興市場株が上位を占めた。ランキング第2位のレオパレス21<8848>(東証プライム)の157.3%以下、グリーンズ<6547>(東証スタンダード)、千代田化工建設<6366>(東証スタンダード)、スポーツフィールド<7080>(東証グロース)、ミズホメディー<4595>(東証スタンダード)、ノーリツ鋼機<7744>(東証プライム)、MRT<6034>(東証グロース)と続き、MRTのROEは65.3%となる。株価が3ケタ台の値ごろ妙味のある銘柄も多く、PERは6倍台〜13倍台の割安ゾーンに分布している。
このうちスポーツフィールドは業績の上方修正と増配、さらに株式分割を発表し、ノーリツ鋼機は、業績の上方修正を2回行った。またバンク・オブ・イノベーション<4393>(東証グロース)は、モバイルゲームアプリの動向が予測しにくいとして業績予想を開示せず予想PERが算出不可能だが、ROEは、162.22%でランキングのトップに位置し、リリース開始から1年以上経過したアプリ『メメントモリ』がなお好調に推移しており、要注目となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)
◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!
2024年01月15日