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2024年02月26日

生化学工業は調整一巡、24年3月期営業・経常減益予想据え置きだが再上振れ余地

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期第3四半期累計は売上原価率の上昇や海外子会社における販管費の増加などで減益だった。そして通期営業・経常減益予想(23年11月8日付で上方修正)を据え置いた。第3四半期累計の利益は通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第4四半期に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第3四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始したが、主要評価項目において統計学的に有意な改善効果が認められなかったため、取得したデータの解析を進めるとともに、今後の開発方針について検討している。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。そして23年7月に消化器外科領域の国内ピボタル試験で良好な結果を得たため、早期の承認申請に向けた準備を進めている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも操作性、安全性について確認が完了した。SI−449についてはグローバル展開を視野に入れて開発を推進する方針としている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期3Q累計減益、通期営業・経常予想据え置きだが再上振れ余地

 24年3月期の連結業績予想(23年11月8日付で上方修正)は売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。研究開発費の計画は23年3月期比4.9%増の75億50百万円としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比4.7%増の273億84百万円、営業利益が31.6%減の23億28百万円、経常利益が27.7%減の30億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が25.6%減の27億01百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収だった。利益面は、売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社における販管費の増加などにより減益だった。研究開発費は4.8%減の50億98百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は3億96百万円、当期は2億36百万円)した。

 医薬品事業は売上高が9.9%増の197億27百万円、営業利益が10.6%増の15億43百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が1.9%増の90億20百万円、海外医薬品が8.8%増の75億33百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が13.6%増の24億74百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は2百万円)だった。

 国内医薬品では、薬価引き下げの影響があったものの、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が6.7%減の76億57百万円、営業利益が61.0%減の7億85百万円だった。海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が96億61百万円、営業利益が12億98百万円、経常利益が19億59百万円、第2四半期は売上高が84億00百万円、営業利益が1億84百万円、経常利益が3億68百万円、第3四半期は売上高が93億23百万円、営業利益が8億46百万円、経常利益が7億22百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期予想は据え置いている。第3四半期累計の利益は通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第4四半期に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月22日の終値は748円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約425億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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