セブン工業<7896>(東証スタンダード)は、今2024年3月期業績を下方修正し赤字転落したが、今期配当は前期と横並びの年間20円を予定し、今年1月31日に発表した今期第3四半期(2023年4月〜12月期、3Q)業績が3カ月の四半期ベースでは黒字幅を拡大させて着地しており、さらにスギ人工林伐採による花粉症関連株人気も加わり押し目買いが再燃している。テクニカル的にも、足元の急騰とともに25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、買いサポート材料視されている。
■四半期ベースの黒字幅拡大で3Q利益は黒字転換して着地
同社の今3月期通期業績は、新規住宅着工件数の減少が顕著となり受注が低迷し売り上げが下ぶれ、エネルギーコスト高騰や円安・ドル高による資材価格の上昇、価格改定の後追いなどにより下方修正され営業利益は期初予想の3億1000万円から2300万円の赤字(前期は3億2500万円の黒字)に下方修正され、純利益は、収益性の低下した内装建材事業の固定資産に7億1300万円の減損損失を計上し7億9500万円の赤字(前期は2億3100万円の黒字)と見込んだ。これに対して今期3Q業績は、売り上げ117億8200万円(前年同期比13.0%減)、営業利益5900万円(同81.4%減)、経常利益6400万円(同80.0%減)、純利益7億1400万円の赤字(前年同期は2億1400万円の黒字)で着地した。
3Qの営業利益、経常利益は、連続大幅減益となったが黒字化し、営業利益を3カ月ごとの四半期ベースで比較すると今期第1四半期の4600万円の赤字が、第2四半期に2000万円の黒字、第3四半期が8500万円の黒字と改善を示した。製品群の練り直しと事業ポートフォリオの再構築を進め、生産体制ではムリ、ムダを排除して合理化、効率化に取り組み、引き続き価格改定の浸透を図ることなどが要因となった。一方、花粉症関連では林野庁が、岸田内閣が推進している花粉症対策「初期集中対応パッケージ」に基づき、花粉の発生源となっているスギ人工林を伐採する約98万ヘクタールを重点区域として設定したことが見直し材料となった。同社は、国産材の有効利用策と期待される高層ビルなどの非住宅分野向けの木造大型構造物の開発・施工実績が突出しており、恩恵大として先取りされている。
■GC示現がサポートし配当利回り3.8%、PBR0.3倍の修正に弾み
株価は、連続減益予想業績と年間20円配当継続が綱引きして500円出没相場が続き愛知県が主催した木材利用イベント「ウッドワンダーランド2023」出展などをテコに昨年来高値651円へ急伸する場面もあったが、買い一巡後は再度、500円台を試す調整が続き、花粉症関連人気の波及とともに594円の戻り高値までリバウンドし25日線が75日線を上抜くGCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。赤字転落予想でPERは算出不可能だが、年間配当利回りは3.82%、PBRは0.32倍となお下げ過ぎを示唆している。戻り高値抜けから昨年来高値651円奪回を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)
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2024年03月01日