■アップトレンドを迎える業界のダークホースたち
今週の当コラムは、全面業績相場のなかややディフェンシブ的になることを承知しながらも、東証プライム市場の小型株、スタンダード市場銘柄などを業績相場のダークホースの候補株として取り上げることにした。この条件には目下集計中の3月期業績に上方修正実績があり、業種的にもこれからアップトレンドが観測されている業界にあることが前提である。この条件をクリアする第一候補には、舶用機器関連株が浮上する。
同関連業界ではすでに古野電気<6814>(東証プライム)とダイハツディーゼル<6023>(東証スタンダード)が決算を発表済みで、古野電気は今2月期業績、ダイハツディーゼルは今3月期業績の減益転換予想と減配を予想しており、株価は、古野電気はストップ安、ダイハツディーゼルは逆行高するマチマチの反応となっている。しかし造船各社の多くが数年分の新造船の手持ち工事量を確保し、日本の造船業のコスト競争力は、5年後には世界トップの中国や第2位の韓国のレベルを超えるとの業界発のリポートも公表されている。ここは関連銘柄のGW明けの決算発表をマークして自分流の業績相場の準備作業を整えるのも一考余地がありそうだ。
■舶用エンジン株、電子機器株、バルブ株などフルセットの一角を形成
舶用機器関連の舶用エンジン株、電子機器株、バルブ株などで、GW明けの5月9日から15日にかけて3月期決算発表を予定している業績上方修正の実績のある銘柄をコード番号順に上げると次の通りとなる。ジャパンエンジンコーポレーション<6016>(東証スタンダード)、阪神内燃機工業<6018>(東証スタンダード)、赤阪鉄工所<6022>(東証スタンダード)、寺崎電気産業<6637>(東証スタンダード)、ニッチツ<7021>(東証スタンダード)、東京計器<7721>(東証プライム)と続く。このうちジャパンエンジンは、日本郵船<9101>(東証プライム)や川崎重工業<7012>(東証プライム)などが推進している次世代船舶のアンモニア燃料船や水素燃料船の開発プロジェクトにも参画している。
このほか船底塗料の中国塗料<4617>(東証プライム)、溶接機械の小池酸素工業<6137>(東証スタンダード)、舶用バルブの中北製作所<6496>(東証スタンダード)も要注目で、船舶通信の日本無線に続き通信技術の日立国際電気を連結子会社化した日清紡ホールディングス<3105>(東証プライム)は、前12月期業績が子会社譲渡損の計上で赤字転落したが、今12月期は黒字転換を予想しており、フルセットの関連株の一角を形成する。
■ゼロミッション船開発では造船株、水素システム株も浮上余地
造船会社本体も、大型株となるが上方修正実績のある関連株が、GW明け後の5月9日から13日に掛けて3月期決算の発表を予定している。三井E&Sホールディングス<7003>(東証プライム)、川崎重工業<7012>(東証プライム)、名村造船所<7014>(東証スタンダード)、内海造船<7018>(東証スタンダード)と続く。このなかで、川崎重工と三井E&Sホールディングスが、次世代船舶のアンモニア燃料船、水素燃料船の開発プロジェクトに関連しており、このゼロミッション船人気が再燃するようなら、開発プロジェジェクトの一角を形成する日立造船<7004>(東証プライム)、商船三井<9104>(東証プライム)、川崎汽船<9107>(東証プライム)、NSユナイテッド海運<9110>(東証スタンダード)、伊藤忠商事<8001>(東証プライム)、岩谷産業<8088>(東証プライム)などにも波及することになる。
次世代船舶開発では、内航海運のタグボートの舶用水素ステーションシステムを受注のキッツ<6498>(東証プライム)、加地テック<6391>(東証スタンダード)も、穴株に浮上しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)
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2024年05月07日