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2024年05月07日

マルマエは反発の動き、25年8月期収益回復基調

 マルマエ<6264>(東証プライム)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開し、成長戦略として消耗品の拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営などを推進している。24年8月期は大幅減収減益予想としている。中国向け太陽電池製造装置部品の受注が遅れていることに加え、半導体分野で既存顧客における在庫調整が長引いていることも考慮した。ただし半導体分野が底打ち感を強めており、積極的な事業展開で25年8月期は収益回復基調だろう。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工を展開

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開し、半導体・FPD製造装置の真空パーツを作るノウハウ、同業他社に比べて高い生産性・低コスト、急変動する半導体・FPD市場に柔軟に対応できる設備力、ワンストップ受注に対応する多工程生産能力などを強みとしている。なお作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 23年8月期の全社合計受注高は22年8月期比43.8%減の51億67百万円(半導体分野が52.4%減の33億46百万円、FPD分野が47.9%減の7億61百万円、その他分野が51.3%増の10億59百万円)で、全社合計売上高は20.0%減の68億68百万円(半導体分野が29.0%減の45億34百万円、FPD分野が49.8%減の7億74百万円、その他分野が208.7%増の13億74百万円)だった。半導体分野とFPD分野は市場停滞の影響で受注・売上高とも減少した。その他分野は太陽電池製造装置用部品が受注・売上高とも急拡大した。

■シェア拡大やESG経営を推進

 長期ビジョンとして「幅広い分野の総合メーカーを支える部品加工のリーディングカンパニー」を目指し、中期事業計画では成長戦略として消耗品拡大による受注安定化、市場シェア拡大に向けた能力増強投資、ESG経営などを推進している。

 なお中期事業計画の目標値については、市場環境変化に伴って最終年度を26年8月期(従来は25年8月期)に変更し、最終年度26年8月期売上高140億円、営業利益42億円、資産ベースROIC21%、負債ベースROIC18%、配当性向35%以上、年間最低配当額20円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。

 売上拡大(22年8月期85.9億円から26年8月期140億円へ+54.1億円)戦略として、半導体分野は既存顧客からの受注拡大で+22.8億円、新規顧客獲得(獲得済の新規顧客2社からの量産受注拡大など)で+27.5億円、FPD・その他分野(FPD分野はEBW拡大、その他分野は太陽光発電関連や人工衛星関連の拡大など)で+3.8億円を目指す。なお23年8月期の消耗品売上比率は半導体分野が62.2%、FPD分野が19.6%だった。

 設備投資計画(CFベース)については、増産投資およびカーボンニュートラルに向けた太陽光発電投資などにより、24年8月期が10億円、25年8月期が24億円、26年8月期が18億円としている。主な投資は、24年8月期は開発投資やES向上に向けた社員食堂への投資、25年8月期と26年8月期は新工場建設(総額約15億円)としている。減価償却費(製造原価)の見込みについては、24年8月期が8.97億円、25年8月期が約10.4億円、26年8月期が約11.8億円としている。

 また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。自社の再生可能エネルギー活用によってCO2削減を推進し、2030年に50%削減、2050年に100%削減を目指す。さらに人材力最大化に向けて、6つの向上施策(多様化の推進、人材戦略の推進、誰もが働ける職場環境の整備、人事制度改善、育成プラン作成、育成計画推進)を推進する方針だ。そして21年12月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し、23年4月には統合報告書「マルマエレポート」を発表している。

■24年8月期大幅減収減益予想だが25年8月期収益回復基調

 24年8月期の非連結業績予想(3月28日付で下方修正)は売上高が23年8月期比31.9%減の46億80百万円、営業利益が91.0%減の77百万円、経常利益が39百万円の損失(23年8月期は7億89百万円の利益)、当期純利益が34百万円の損失(同7億06百万円の利益)としている。配当予想は据え置いて23年8月期比6円減配の30円(第2四半期末10円、期末20円)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比51.9%減の20億40百万円、営業利益が78百万円の損失(前年同期は9億27百万円の利益)、経常利益が1億34百万円の損失(同9億13百万円の利益)、四半期純利益が1億01百万円の損失(同6億44百万円の利益)だった。半導体分野の市場停滞の影響で大幅減収・赤字だった。

 全社の受注高は30.4%減の19億93百万円(内訳は半導体分野が31.4%減の14億88百万円、FPD分野が82.9%増の4億70百万円、その他分野が92.1%減の34百万円)で、分野別売上高は半導体分野が53.2%減の14億78百万円、FPD分野が13.5%増の4億76百万円、その他分野が96.5%減の19百万円だった。

 半導体分野は既存顧客における在庫調整が長引いている。ただし新規顧客向けは順調に推移し、全体として底打ち感を強めている。FPD分野はG6・G8、OLED向けの売上が回復基調となった。その他分野は太陽電池製造装置部品の受注遅延が影響した。利益面は売上減少と稼働率低下で赤字での着地となった。受注損失引当金は前期末に比べて66百万円減少した。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が11億17百万円で営業利益が22百万円の損失、第2四半期は売上高が9億23百万円で営業利益が56百万円の損失だった。

 通期予想については、期初計画(売上高70億円、営業利益6億80百万円、経常利益5億62百万円、当期純利益4億円)に対して、売上高を23億20百万円、営業利益を6億03百万円、経常利益を6億01百万円、当期純利益を4億34百万円それぞれ下方修正した。

 FPD分野は概ね計画水準で推移しているが、期初計画で約20億円を予定していた中国向け太陽電池製造装置部品の受注が遅れていることに加え、半導体分野で既存顧客における在庫調整が長引いていることも考慮した。修正後の分野別売上高の計画は半導体分野が25.0%減の34億01百万円、FPD分野が20.9%増の9億36百万円、その他分野が85.4%減の2億円としている。

 利益面は減収影響をコスト抑制でカバーできないが、一方では売上内容の変化により粗利率が改善傾向となっているほか、稼働率の改善により受注損失引当金と棚卸評価損が想定以上に改善される見込みとしている。24年8月期は大幅減収減益予想となったが、半導体分野が底打ち感を強めており、積極的な事業展開で25年8月期の収益回復基調を期待したい。

 なお24年4月に「半導体製造装置部品のレジリエンス強化」に関する補助金交付決定を発表した。補助対象事業の完了は26年3月末予定で、最大約9億67百万円の補助金を受けるが、24年8月期業績への影響はないとしている。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上継続保有株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年8月末日現在で6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象としてクオカードを贈呈している。

■株価は反発の動き

 株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。5月2日の終値は1936円、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.5%、前期実績PBR(前期実績のBPS591円25銭で算出)は約3.3倍、そして時価総額は約253億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:28 | アナリスト水田雅展の銘柄分析