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2024年07月10日

冨士ダイスは年初来高値更新の展開、25年3月期大幅増益・大幅増配予想

 冨士ダイス<6167>(東証プライム)は超硬合金製耐摩耗工具(工具・金型)のトップメーカーである。中期経営計画2026(25年3月期〜27年3月期)では、中期方針に「変化に対応できる企業体質への転換」を掲げ、成長戦略として経営基盤の強化、生産性向上・業務効率化、海外事業の飛躍、脱炭素・循環型社会への貢献、新事業の確立に取り組むとしている。25年3月期は需要回復や原価低減などにより大幅増益予想、そして大幅増配予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価はボックスレンジからから上放れて年初来高値更新の展開だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■超硬合金製耐摩耗工具(工具・金型)のトップメーカー

 超硬合金製耐摩耗工具(工具・金型)のトップメーカーである。24年3月期末時点で、グループは同社および子会社7社(国内2社、海外5社)で構成され、海外はタイ、中国・上海、インドネシア、インド、マレーシアに展開している。なおインドについては、現地の経済環境などを鑑みて16年8月から事業を休眠しているが、今後は市場調査を行い、事業再開を予定している。24年3月には、中国の現地子会社である富士摸具貿易(上海)有限公司が広東省・東莞市に新たな営業拠点を開設し、営業を開始した。また24年4月にはマレーシアの現地子会社であるフジロイ・マレーシアが、営業活動の中心を従来のペナン事務所から首都クアラルンプール事務所へ移し、カバーエリアを拡大した。

 生産拠点は、国内が郡山製造所・郡山第2工場(福島県郡山市)、秦野工場・秦野第2工場(神奈川県秦野市)、名古屋工場(愛知県名古屋市)、岡山製造所(岡山県倉敷市)、熊本製造所(熊本県玉名郡)、子会社の新和ダイス(山梨県甲州市)、冨士シャフト(福島県二本松市)で、海外がタイとインドネシアとなっている。23年9月には岡山製造所に新たなCIP装置を導入して本格稼働した。岡山製造所の生産能力を増強するとともに、次世代自動車への対応強化を図る。23年11月には熊本製造所の冶金棟のリニューアルが完了した。DX化による省人化やレイアウトの最適化による生産性向上と粉末冶金技術(粉末・成形・焼結)の向上により、背生産能力の最大化を目指す。

■超硬合金とは

 超硬合金というのは、炭化タングステンに代表される硬質の金属炭化物と、コバルトなどの鉄系金属を粉末状にして混ぜ合わせ、型に入れて圧縮・成型し、粉末冶金法(融点より低い温度で焼いて固める方法)によって製造される金属材料である。ステンレスや鋼鉄を凌ぐ硬さを持ち、耐摩耗性に優れるという特性があり、高い精度が求められる金型や工具の材料として適しているため、輸送用機械、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、電気・電子部品など幅広い産業分野で使用されている。

 製品としては精密加工が施されて、主に塑性(切屑の出ない)加工に用いられる高精度かつ耐摩耗性に優れた超硬合金製耐摩耗工具となるほか、一部は中間製品である超硬合金チップとしても販売される。なお、超硬合金製耐摩耗工具の性能や寿命に関しては、顧客の設計思想や生産プロセスが色濃く反映されるため、超硬合金製耐摩耗工具の大部分は顧客ごとのカスタムメイドとなっている。

■幅広い産業分野に多品種少量の高付加価値製品を提供

 同社の製品分類は、超硬製工具類(線材やパイプの生産用工具として使用されるダイス・プラグ、鉄鋼向けの熱間圧延ロール、人工ダイヤモンドやcBNの生産用工具として使用される超高圧発生用工具など)、超硬製金型類(自動車部品製造用金型、飲料缶や食用缶などの製缶金型、車載電池用金型、ガラスレンズ生産用の光学素子成形用金型、半導体・電子部品用金型など)、その他の超硬製品(超硬合金チップなど)、超硬以外(鋼製品、セラミック製品など)としている。

 24年3月期の製品別売上高構成比は、超硬製工具類が28.7、超硬製金型類が23.5、その他超硬製品が24.0、超硬以外の製品が23.8だった。主力製品は超硬製工具類のダイス・プラグ、熱間圧延ロール、超高圧発生用工具、超硬製金型類の自動車部品製造用金型、製缶金型、車載電池用金型、超硬製品の超硬合金チップなどとなっている。地域別売上高構成比は日本が81.3%、アジアが15.5%、その他が3.3%だった。

 産業別売上高は輸送用機械が27.9億円、鉄鋼が28.3億円、非鉄金属・金属製品が23.4億円、生産・産業用機械が20.4億円、電機・電子部品が14.4億円、金型・工具向け素材が22.9億円だった。取引社数は約3000社に達し、国内の超硬耐摩耗工具市場で長期に亘ってトップシェア(同社推定30%以上)を維持している。

 同社は顧客ニーズを的確に捉えて、個別カスタマイズの多品種少量生産に対応する研究開発〜生産〜営業体制を構築し、高品質の製品を顧客に提供している。そして、超々微粒から中粒や超粗粒まで顧客ニーズに最適な粒子径や硬さの材種を提供できる新材料開発・粉末冶金技術・加工技術・品質対応力、設計〜原料粉末調粉〜焼結〜機械加工〜製品検査の一貫生産体制、豊富な製品ラインナップ、特定の業界・顧客に依存しない収益安定性などを特長・強みとしている。

 さらに同社は、競合が少ない超硬合金製耐摩耗工具で多品種少量の高付加価値製品を提供しているため、切削工具・素材メーカーが多い業界平均に比べて販売単価が高く、販売価格が安定的に推移していることなども特長としている。また財務面では、24年3月期末の自己資本比率79.0%と盤石の財務基盤を構築していることも特長だ。

 23年11月には、日本機械工具工業会主催の「2023年度日本機械工具工業会大賞」において高熱膨張ガラス成形用新硬質材料「フジロイTR05」が「技術功績大賞」を受賞、廃棄物削減・再資源化率向上の取り組みが「環境特別賞」を受賞、モノづくり日本会議/日刊工業新聞主催の「2023年度超モノづくり部品大賞」において「フジロイTR05」が「奨励賞」を受賞、24年1月には日刊工業新聞社主催の「2023年第66回十大新製品賞」において「フジロイTR05」が「モノづくり賞」を受賞した。

■中期経営計画(25年3月期〜27年3月期)

 24年5月策定の中期経営計画2026(25年3月期〜27年3月期)では、中期方針に「変化に対応できる企業体質への転換」を掲げ、成長戦略として経営基盤の強化、生産性向上・業務効率化、海外事業の飛躍、脱炭素・循環型社会への貢献、新事業の確立に取り組むとしている。

 目標数値には最終年度27年3月期の売上高200億円、営業利益20億円、経常利益21億円、経常利益率10.5%、当期純利益15億円、ROE7.0%を掲げた。また、成長投資と株主還元の両方を追及する観点から配当方針を見直し、中期経営計画2026の期間における配当を、株主資本配当率(DOE)4%を目途とすることに加え、積極的かつ機動的な自己株式取得を行うことで利益還元を強化する方針とした。

 また24年5月には「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」をリリースした。24年6月には「一般事業主行動計画」に基づく23年度実績を公表した。

■25年3月期大幅増益・大幅増配予想

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.9%増の180億円、営業利益が26.1%増の10億20百万円、経常利益が30.4%増の11億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.0%増の8億30百万円としている。配当予想は24年3月期比8円増配の40円(期末一括)としている。24年3月期の32円には記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは18円増配の形となる。予想配当性向は95.7%となる。配当は配当方針を見直して大幅増配予想としている。

 売上面は自動車部品関連金型の需要回復、中国の新規営業拠点(広東省・東莞市)における拡販効果などにより増収を見込み、利益面は増収効果に加え、原価低減効果も寄与して大幅増益予想としている。なお営業利益+2億11百万円の増減分析(計画)は、売上高増加が+13億22百万円、材料費増加が▲3億67百万円、売上高増加に伴う外注加工費増加(外注加工費率は生産効率改善効果により低下)が▲87百万円、その他変動費増加が▲52百万円、人的資本投資による人件費増加が▲3億46百万円、設備関係費用増加が▲23百万円、旅費交通費増加が▲42百万円、その他固定費増加(IT関連費用や広告宣伝費用等の増加)が▲2億01百万円としている。為替の想定レートは1米ドル=150円である。

 産業別売上高の計画は輸送用機械が3.1億円増の31.0億円、鉄鋼が0.6億円減の27.7億円、非鉄金属・金属製品が0.4億円減の23.0億円、生産・産業用機械が1.6億円増の22.0億円、電機・電子部品が3.6億円増の18.0億円、金型・工具向け素材が1.4億円増の24.3億円としている。

 輸送用機械は次世代自動車関連モーターコア用金型の需要増、鉄鋼はガス田開発等に伴う鋼管用ダイス・プラグの需要増、非鉄金属・金属製品は耐アルミ関連製品の需要増、生産・産業用機械は半導体製造装置向けの需要増や光学素子向け新製品の販売拡大、電機・電子部品は半導体用製品の持ち直しや車載用電池関連の需要増、金型・工具向け素材はモーターコア金型向け素材の拡大継続や中国市場深耕での販売拡大などを見込んでいる。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は年初来高値更新の展開

 株価はボックスレンジからから上放れて年初来高値更新の展開だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。7月9日の終値は866円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円78銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約4.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1039円32銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約173億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:11 | アナリスト水田雅展の銘柄分析