2024年10月21日
【株式市場特集】日米選挙控え、金関連株と自社株取得銘柄に注目
■政治リスク下の資産防衛、産金株とバリュー株が浮上
米国大統領選挙が迫る中、トランプ前大統領の支持率上昇に伴いNYダウが史上最高値を更新し、「トランプ・トレード」再燃の期待が高まっている。しかし、トランプ氏の予測不可能な政治手法は地政学リスクを拡大させる可能性もあり、「トランプ・リスク」への警戒も必要である。同時に、金先物価格も史上最高値を更新しており、安全資産としての需要が高まっている。日本でも衆議院選挙を控え、政局不安が懸念される中、「石破トレード」や「石破リスク」にも注目が集まっている。このような状況下で、資産防衛策として金関連株や自己株式取得銘柄が注目されている。日米の選挙イベントを前に、投資家はリスク回避と資産防衛に軸足を置いた投資スタンスが求められている。
当コラムでは、再三取り上げており恐縮だが、安全資産の金関連株である。また「天は自ら助くる者を助く」で相場波乱時に自己株式を取得して下値抵抗力を発揮する自己株式取得銘柄も外せない。代表株は、取得枠を1000億円以上と設定しなお取得途上にある主力バリュー株である。金関連株と自己株式取得株の二刀流打法で活路を切り拓き「資産防衛策は最大の資産形成策」となる展開を期待したい。
■産金株、リデュース株、リユース株には円安・ドル高の側面支援材料
金価格関連株は、10月7日付けの当コラムで取り上げた産金株、リデュース(貴金属回収)株、リユース(貴金属買取・再販)株が浮上する。産金株では、鉱石1トン当たりの平均金量が約20グラムの世界有数の高品位金鉱脈である菱刈鉱山で産金する住友金属鉱山<5713>(東証プライム)が、リード株となる。同社は、今年8月2日から権益参加しているカナダのコテ金鉱山の商業生産を開始した。次いで含有鉱種が豊富な黒鉱を保有するDOWAホールディングス<5714>(東証プライム)も産金株の一角を占め、リデュース事業でも有力企業となっている。また純金積立をオンライン展開している三菱マテリアル<5711>(東証プライム)への人気波及も期待される。
リデュース株、リユース株は、国内の金小売り価格が、円安・ドル高の影響でやはり史上最高値追いとなっていることから注目度が高まる。リデュース株は、コード番号順に上げると中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)、AREホールディングス<5857>(東証プライム)、松田産業<7456>(東証プライム)と続く。リユース株は、このところ四半期業績や月次売上高の伸び悩みで株価が下ぶれる銘柄も続いているが、業績は堅調推移しておりハードオフコーポレーション<2674>(東証プライム)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)、テイツー<7610>(東証スタンダード)、BuySell Technologies<7685>(東証グロース)などが要注目となる。
■1000億円規模の自己株式取得枠設定も道半ばでなお買い余力銘柄も
自己株式取得は、もちろん株主への利益還元策である。ただ最近は、政策保有株の相互解消を目的に大規模な自己株式取得を実施するケースも目立つ。トヨタ自動車<7203>(東証プライム)とMS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>(東証プライム)はその代表株で、トヨタは、今年5月に続き9月にも追加取得を取締役会決議し、取得株式総数5億3000万株、取得総額1兆2000億円に対する進捗率は、今年9月30日現在で株式公開買い付け(TOB)分を含めて取得株式数で60%、取得総額で73%となっており、なお3000億円超の取得余力を残す。MS&ADも、取得株式総数1億3000万株、取得総額1900億円に対する進捗率は40%、91%となっている。両銘柄とも低PER・PBR、高配当利回りとなっており、このバリュエーションも下値サポート力に寄与しそうだ。
自己株式取得の取得総額が1000億円以上で、その今年9月末の進捗率が低位にとどまる主力バリュー株を上げると大和ハウス<1925>(東証プライム)、日立製作所<6501>(東証プライム)、日本郵政<6178>(東証プライム)、ホンダ<7267>(東証プライム)、伊藤忠商事<8001>(東証プライム)、三井物産<8031>(東証プライム)、東京海上ホールディングス<8766>(東証プライム)、日本郵船<9101>(東証プライム)などと続く。また今年前半に大規模自己株式取得を早期終了したメガバンク株や大手商社株は、第2四半期決算発表時に追加取得を発表するかウオッチするのも重要となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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