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2024年10月28日

【どう見るこの相場】地政学リスクと政局不安、東京市場に影響か?、名証が安全な投資先として浮上

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■直下型の政局激震はリスク圏外の名証単独上場・重複IPO株へのシェルター軽減策も一法

 踏んだり蹴ったりである。26日のイスラエルのイラン攻撃による地政学リスク、27日投開票の衆議院議員選挙での自公の政権与党の過半数割れの政局不安と内憂外患が追い討ちを掛けた。中東リスクは、世界のマーケットのうち週明け最初に東京市場が、織り込みに動くだけに、紛争のエスカレート状況をウオッチしつつ、なおかつ政治の不安定化を嫌う海外短期筋やファンド筋のポジション調整売りや売り仕掛けも予想され大荒れスタートが懸念される。またまた難しい東京市場の1週間が始まりそうだ

 なかでも政局不安は、直下型の激震である。政権与党は、大幅に議席を減らし石破茂総裁が勝敗ラインとしていた過半数割れの厳しい選挙結果を突き付けられた。同総裁の責任問題が浮上し、リカバリー策として当選した非公認候補の追加公認の員数合わせや、野党との新たな連立工作の画策なども想定されるが、総選挙後の特別国会では首相指名選挙での大波乱がまず観測されている。続く通常国会へかけ「政治とカネ」問題や旧統一協会問題の追及が勢いを増すのは間違いなく、来年の参議院議員選挙に向け政権交代も現実味を増しそうだ。すでに総選挙前の大手メディアの情勢分析で政権与党の苦戦が伝えられ、日経平均株価は、公示日の10月15日につけた直近高値の4万257円から9営業日で2300円超幅も急落したが、選挙イベント通過、悪材料織り込み済みとするには、余りの大惨敗である。

 選挙イベントは、日本ばかりではない。米国でも、9日後の11月5日に大統領選挙の投開票日を迎える。ハリス副大統領とトランプ前大統領とデッドヒートが続き、こちらはトランプ優勢として「トランプ・トレード」が先行し、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は一時、最高値追いとなった。ここに今回のイスラエルによるイランへの攻撃が重なるのである。ディール(取引)に軸足を置くトランプ前大統領の政治手法が、米国経済や地政学リスクなどにどう影響するか、まさに予測不可能とされる可能性もあり、また「もしハリス」の逆目が出たらどうなるのか心配にもなる。

 これが「政低経高」で、政治が混迷しても経済が好調を維持しているのなら問題ない。しかし日本の経済は、デフレからインフレに転換するかどうかの正念場にある。『北風と太陽』のイソップ童話ではないが、政局不安や地政学リスクの北風が吹き募れば、旅人は「節約志向」のコートの襟を立てることになり、経済は縮小再生産の悪循環に陥る。金銭哲学では、「インフレはモノ、デフレはカネ」と教えており、投資スタンスとしては不況に備えて現金ポジションを高め、「リスクオフ」に身を縮めることになる。

■内憂外患で揺れる東京市場、名古屋銘柄に資金シフトの兆し

 こうした相場シナリオが想定されるとしたら、投資家は、より安全志向を強め下値硬直性が強く不況耐性のある銘柄に資金を逃避させるはずである。ということで、その一環で浮上してくるのが、名古屋銘柄である。もともと名古屋を中心に東海地方に本社を置く会社は、「石橋を叩いても渡らない」といわれるほどの堅実経営で借金を嫌って現金ポジションを高め、銀行業界では「名古屋金利」といわれるほどの全国平均を下回る低金利を商慣行としてきた。代表が「トヨタ銀行」と持ち上げられたトヨタ自動車<7203>(東証プライム)で、かつては全工場を生産停止して全従業員が毎日、運動会をしても100年持つとさえいわれた。

 名証は、上場会社が製造業中心でバリュー株の宝庫ともいわれてきたが、それは東証と名証の投資家の属性の違いにも表れている。東証の国内投資家比率47%、海外投資家比率52%に対して名証は同じく97%、2%、また個人取引高比率は東証27%、名証85%となっており、東証が、海外投資家・機関投資家主導型のマーケット、名証が個人投資家中心のマーケットの差となっている。東証のボラティリティの高さは、この投資家属性の違いによるもので、海外投資家の動向に一喜一憂し振り回され続けることにもなる。もちろん名証の東証の高安に影響を受けざる得ないが、東証ほどの忙しさに追い回されることはない。

 しかもここにきて目立っているのが、東証上場銘柄の名古屋証券取引所への重複上場である。その遠因は、どうも東証の市場改革にあるらしい。東証の市場改革は、グローバルな市場間競争が激化するなか上場審査や上場基準を厳格化し、成長可能性のある上場銘柄を海外投資家によりアピールする目的で、市場区分の見直しやPBR1倍の充足、急成長ストーリーを盛り込んだ事業計画の策定などを要請してきた。しかしなかには、フロー型のオールドエコノミーのビジネスモデルで独自の成長ストーリーを進めている上場会社もあり、そうした会社からみれば東証の市場改革は、「箸の上げ下ろし」にもクレームを突き付けると受け取られたフシもあった。実際に東証の市場改革が進むなか、老舗会社のなかにはMBO(経営陣による株式公開買い付け)によって上場廃止とし自ら市場退出したケースも垣間見られた。

 ということで名古屋銘柄のまず第一の注目株は、バリュー株のバリュー株ともいうべき名証単独上場会社となる。名証プレミア市場、メイン市場、セントレックス市場に、低PER・PBR株、高配当銘柄が目白押しで、しかも値ごろ妙味のある銘柄も少なくない。次いで東証と名証の重複上場を選択した銘柄である。東証の上場基準に不適合な銘柄が、流動性の向上を目指して重複上場したケースもあり、名証の個人投資家へのアピールは必至となる。まさに古くから巷間謡われた「尾張名古屋は城(個人投資家)で持つ」のように、名証単独・重複上場銘柄へ直下型激震を軽減するシェルター待避も一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 08:11 | どう見るこの相場