日本触媒<4114>(東証プライム)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2月18日、プラント自動運転を可能にする「AI Autopilot System」を活用し、複雑な化学品製造工程の自動運転に成功したと発表。従来、温度や圧力などが絶えず変化する化学プラントでは、高度な知識と経験を持つ運転員による手動操作が不可欠であった。しかし、今回AIが熟練運転員の操作を学習し、安定した運転を実現したことで、運転員の負担軽減と技能継承の効率化が期待される。

両社は、連続蒸留工程の運転データと運転員の操作履歴をもとにAIモデルを構築した。同システムを導入した結果、温度制御の指標となる液面計の誤差が手動操作時の平均2.38%から2.06%へと改善し、13.5%の精度向上を達成。これにより、AIが熟練運転員と同等以上の運転品質を維持できることが証明された。加えて、運転員が常に監視しながら行っていた温度調整の負荷が軽減され、業務の標準化が進むことで、技能継承の時間短縮も見込まれる。
日本触媒は今回の成果を他のプラントにも展開し、DXを推進する方針だ。NTT Comは、化学工場以外の産業への応用も視野に入れ、さらなる機能拡張を進めている。特に、人手不足が課題となる製造業界において、同システムの導入が効率化と安定操業を支える重要な技術となることが期待される。
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