
■相談役制度廃止と定年制導入で経営見直し
フジ・メディア・ホールディングス<4676>(東証プライム)は4月30日、2025年6月開催予定の第84回定時株主総会終結時をもって、金光修代表取締役社長が代表職および取締役を退任すると発表した。これにより、同氏の当初予定であった取締役会長就任は行われず、経営から完全に退くことになる。また、同社社外取締役3名も同日をもって退任し、兼務する子会社フジテレビの取締役または監査役も同時に退任する。
この人事は、3月27日に公表されたガバナンス体制見直しに基づくものであり、同社およびフジテレビでは、株主やステークホルダーからの信頼回復を目的に、透明性の高い役員選任プロセスと権限集中回避の仕組み構築を進めてきた。本日開催の取締役会では、経営諮問委員会に代わる「指名・報酬委員会」の設置や、サクセッションプラン(後継者育成計画)の策定を正式に決定。加えて、相談役制度の廃止、常勤役員の定年制、社外役員の在任期間上限の導入も決議された。
これらの施策は、経営体制の透明性向上と健全な役員交代サイクルの確立を目指したものである。今後も同社およびフジテレビは、ガバナンス改革の一環として最適な役員体制の検討を継続し、決定次第、速やかに公表する方針である。企業価値の向上と持続可能な経営を実現するための取り組みが引き続き注視される。
■特別損失計上も投資有価証券売却で183億円の特別利益へ
また、同社は固定資産の減損損失約260億円と繰延税金資産の取り崩しによる法人税等調整額約60億円を計上し、2025年3月期の業績予想を修正した。売上高・営業利益・経常利益は前回予想を上回るものの、特別損失等の影響により親会社株主に帰属する当期純利益は201億円の赤字と下方修正。一方、政策保有株式縮減のため2銘柄の投資有価証券を売却し、2026年3月期第1四半期に約183億円の特別利益を計上予定。同社は2030年度までに政策保有株式を純資産比20%未満にする目標を掲げ、資本効率向上に向けた施策を推進している。
◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!