
■急増する「トランプ関税」警戒感、現場で何が起きているか
日米首脳会談を前に、石破茂首相は23日、トランプ大統領と電話協議を行い、関税問題や経済安全保障の協力を巡り率直な意見交換がなされた。米国による輸入関税の引き上げ、いわゆる「トランプ関税」をめぐり、両国は6月のG7サミットに合わせ正式な会談の場を設ける方針を確認した。日本側は、自動車や鉄鋼、アルミニウムを含む各種製品への関税撤廃を強く求めており、首脳同士による最終調整への意欲が示されている。
■全国企業コメントに見る「高騰」「不透明感」―景気指標が示す現実
一方、この「トランプ関税」が日本国内経済に与える影響は深刻化している。帝国データバンクの景気動向調査によれば、「トランプ関税」に関連するコメントを寄せた企業の割合は、2025年1月の1.2%から4月の12.3%へと急上昇。関連企業の景気DI(業況指数)は38.1と、全体平均(42.7)を連続して下回った。「高騰」「価格」「関税」「トランプ」などの単語が企業コメントで頻出し、不透明な経営環境に対する強い警戒感が浮き彫りとなっている。
実際、企業の現場ではアメリカの関税政策に翻弄されている様子が見て取れる。例えば、鉄鋼・非鉄、機械、飲食料品など幅広い業種で「受注の減退」「収益圧迫」「意思決定の遅れ」といった言葉が並び、中国の対抗措置による原材料調達リスクも現実味を増している。加えて、為替の円高傾向や先行き不透明感が企業活動全般に重くのしかかっている。政策変更による市場の急変も、企業活動のボトルネックとなっている現状だ。
調査結果では、トランプ政権の関税政策を巡る警戒の急拡大と、それが日本経済に与える実害が広がっているのが実態である。米中関係の変化や市場環境の不確実性が高まる中、企業側には状況に即応した経営判断が求められる。同時に、政府には長期的視点での米国との交渉と、影響を被る国内企業への着実な支援策が必要になろう。
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