
■中東紛争が引き起こした地政学クラッシュの深淵
世界同時株安である。散々な3月相場が続いている。日経平均株価は、前週末27日までの月間で5477円安と大きく崩れた。1月が月間で2983円高、2月がさらに5577円高と大幅続伸し、2月には「高市トレード」効果で史上最高値5万9332円まで買い進まれた。今年の午年の「午尻下がり」の悲観的な干支アノマリーを吹き飛ばす上々のスタートダッシュをしただけに、その落差は際立ち、市場マインドを余計に委縮させている。
もちろんこのクラッシュは、2月28日に米国とイスラエルがイランを突如、軍事攻撃し、イランも報復攻撃で応じ、紛争の長期化、ドロ沼化を懸念して地政学リスクが高まっていることが要因である。イランの報復攻撃では、湾岸産油各国の石油関連施設が空爆され、一部施設が生産停止に追い込まれ、原油輸送の大動脈のホルムズ海峡が実質閉鎖されたことと重なり、原油供給途絶不安で原油先物(WTI)価格が急騰しインフレ再燃が懸念されていることが背景である。
■東依存度90%超の「資源小国」日本の致命的弱点
ただこの世界同時株安は、東京市場と米国市場を比べるとやや違いがある。その一つは、日経平均株価の3月相場の下落率が、紛争当事国の米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)より大きいことである。前週末27日現在で月初来の下落率は、NYダウのマイナス7.7%に対して、日経平均株価は、9.3%である。この違いは何によるのか?多分、日本が資源小国であることに関係する可能性大である。日本の原油輸入の中東依存度が90%超にも達し、放出を開始した石油備蓄が枯渇する夏場以降は、あの第一次・第2次石油危機当時と同様に、「油乞い外交」を展開しなければならないと見透かされているのかもしれない。対して米国は、「シェールオイル革命」で世界最大の石油輸入国から世界最大の産油国に大変貌しているのである。さらに「有事に強いドル」の煽りも受けて、日本は、株安、債券安、円安の「トリプル安」に見舞わている。
■日経平均は年初来+6%、NYダウはマイナス6%、世界同時株安でも「勝ち組」東京市場の逆転現象
日米両市場の違いのもう一つは、年初来の株価騰落率である。日経平均株価は、これまで3月相場で9%超の調整をしたが、昨年末の大納会終値に対して3033円高、6%高の水準にある。対してNYダウは、2896ドル安、6%安の水準あり、プラス、マイナスが逆転する。この逆転現象は、さまざまに相場コメントされそうである。米国市場に比べて東京市場の調整率がまだ不十分で、これから調整が本格化するとのネガティブな見方も当然、予想される。その一方で、東京市場が「トランプ関税」を無事消化し、「AI(人工知能)革命」の恩恵を享受した結果とも受け取れないこともない。この違いは、いずれ理論的に裏付けされることを待ちたい。
いずれにしてもこの日米市場の違いは、東京市場の投資家にまだ株安が続いても利益確定売りの余地が残していることになり、NY市場のヤラレ投資家との違いになるはずである。東京市場でも高値覚えの投資家は、高値から何割ヤラレとアタフタしているものの、その実は持ち株はなお買いコストを上回っているのである。もちろんこれからNY市場並みに調整が本格化するのかか、年初来のプラスは維持するのかは、中東の地政学リスク次第ではあるが、株価急落にもジタバタしない余裕のある投資家も、なお健在しているとも推定される。
■配当権利取りが証明した逆張りの威力
楽観的過ぎるとお叱りを受けそうだが、現に前週末27日は、日経平均株価は続落したものの、TOPIX(東証株価指数)は、小幅ながら反発した。27日が、3月期決算会社の配当権利取りの最終売買日で、この権利取りの買い物が入り、東証マザーズ市場の67%の銘柄が値上がりしたことが寄与した結果だ。株式投資の基本の「キ」に立ち戻って、幅広い銘柄に逆張りの配当権利取りを選択したことになる。この配当権利取りと同様に基本に立ち返ってポートフォリオの見直しをするのも、この波乱相場ではベストとはいわないまでもベターとなるはずである。
■経営マインドに左右されない「実績開示」の月次報告、ワークマン急騰の再現を狙えるか
きょう30日に実質新年度入りする4月相場の基本の「キ」は、中旬以降に発表が本格化する3月期決算会社の業績を先取りする業績相場が第一である。前期業績が上ぶれ着地か下ぶれ着地か、今期業績のガイダンスが続伸予想か慎重な保守的予想か、株高・株安に直結する。その業績ガイダンスには当然、経営サイドのマインドの強弱が反映される。この決算発表に先立って、やや小ぶりのイベントだが、もう一つの「キ」がある。消費関連株中心に月初以降に相次いで発表される月次売上高報告である。発表される月次売上高の好不調により発表会社の株価が、急騰も急落もするからである。しかもこの月次報告は、実績のみの開示であり、経営サイドのマインドで左右される余地は少ない。「高市トレード」の後押しがあった今年2月月初に発表された1月度月次売上高報告では、ワークマン<7564>(東証スタンダード)やBuySell Technorogies<7685>(東証グロース)内の株価が急騰したことは記憶に新しく実績評価であった。
ところが、3月月初に発表された2月度月次売上高報告では、多くが続伸着地の実績を開示したにもかかわらず、中東紛争の地政学リスクの割を食って株価不発となった。これから4月初旬に発表される3月度月次売上高報告は、もちろん中東紛争の影響で好不調が分かれ影響が出る可能性もある。しかし関連銘柄の4割超が投資採算的に割安なディフェンシブ株で占められているのである。基本の「キ」に立ち返って月次報告の先取りの選択肢も一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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