
■WTI原油が一時103ドル台に急騰、ヘリウム・医療用品・食品包装まで供給不安が拡大
3月30日、日経平均株価の下げ幅は一時2800円超に拡大し、東証株価指数(TOPIX)も大幅安となっている。米国株安に加え、イエメンの親イラン武装勢力フーシ派がイスラエル軍施設への弾道ミサイル攻撃を発表したことで、中東情勢の不透明感が一段と強まった。市場では先物主導でリスク回避の売りが広がり、東証33業種すべてが下落、値下がり銘柄は全体の95%に達する全面安の展開となっている。
■戦線は拡大の一途、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態
株価急落の背景には、中東全域に広がる戦火の深刻化がある。米国・イスラエルによるイランへの大規模攻撃開始から約1カ月が経過したが、停戦の兆しは見えない。イスラエル軍はイラン国内の核関連施設や重工業施設を空爆し、イランは中東の米・イスラエル関連拠点への報復を宣言している。
レバノン南部ではイスラエル軍とヒズボラの戦闘が激化し、医療従事者を含む多数の死者が報告され、WHOは国際法違反と非難した。ガザ地区でも「停戦は名ばかり」との批判が上がる。ペルシャ湾岸のエネルギー施設への攻撃が相次ぎ、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となっている。原油タンカーは紅海ルートなどへの迂回を余儀なくされ、WTI原油先物は100ドルを突破、日本時間30日朝には103ドル台まで上昇した。
■ナフサ不足が「製造業の心臓」を止める、供給不安は食品・医療にも波及
原油高騰とホルムズ海峡封鎖がもたらす最大のリスクは、石油化学の基盤であるナフサの供給逼迫である。日本のナフサ供給の約4割は中東に依存しており、三井化学・三菱ケミカル・旭化成などはすでに減産を発表している。
ナフサ不足はポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・PET樹脂の生産停滞を招き、食品包装フィルム、ごみ袋、弁当容器に加え、注射器・点滴バッグ・医療用手袋など広範な品目に影響が及ぶ。医療用手袋は450円から1000円超へと倍以上に高騰したとの報告もあり、さらにカタール産ヘリウムの供給懸念も浮上している。影響は包装材を起点に食品・日用品へと波及し、家計負担は一段と増す見通しである。
■今後のシナリオ、最悪なら原油200ドル・GDPマイナス転落
今後1〜3カ月で最も現実的なのは「混乱継続」シナリオである。ホルムズ海峡の封鎖状態が続き、原油価格は90〜110ドル台で高止まりし、化学メーカーの減産拡大や食品・日用品の値上げ加速が見込まれる。
戦闘がさらに拡大した場合、カタールやUAEのエネルギー施設が追加被害を受け、LNGや化学品の供給が一段と悪化する可能性もある。最悪の場合、米軍の地上作戦突入とホルムズ海峡の完全封鎖により、原油価格は150〜200ドルへ急騰し、日本のGDPがマイナス成長に転落する「オイルショック級」の経済危機が現実味を帯びる。国際社会はG7外相会合で民間人攻撃の即時停止とホルムズ海峡の開放を求めているが、事態収束の道筋はなお見えていない。
◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!

































