クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は、クリエイティブ分野を中心にプロフェッショナル・エージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、プロフェッショナル50分野構想を掲げて事業領域拡大戦略を加速している。26年2月期は大幅増収増益で過去最高だった。ゲーム、ブロードキャスティング、プロモーション、メディカルなどが伸長し、新規連結した高橋書店グループの寄与を除いても過去最高だった。そして27年2月期も営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は決算発表に対してややネガティブ反応となったが、高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたプロフェッショナル・エージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、およびライツマネジメント(知的財産の流通)事業を展開している。
事業領域としては8カテゴリ(ゲーム&ライツマネジメント、ブロードキャスティング&動画、プロモーション&マーケティング、メディカル&ヘルスケア、AI/DX・IT、プロフェッショナル・エージェンシー、Quality of Life、インキュベーション&デベロップメント)に展開している。26年2月期時点でプロフェッショナル数46.3万人、クライアント数5.7万社のネットワークを構築していることが強みだ。
直近のM&A・アライアンスとしては25年3月にバンダイナムコエンターテインメントと合弁でモバイルゲーム開発のURS Gamesを設立した。また子会社のC&Rインキュベーション・ラボ(22年10月に投資・事業承継事業を行う子会社として設立、現C&R EVERLASTING STORY、以下:C.R.E.S.)が、T&Wオフィス(手帳・日記・書籍等の企画・編集・出版業を展開する高橋書店グループの持株会社、以下:高橋書店グループ)を子会社化した。25年9月には子会社のプロフェッショナルメディアを吸収合併、25年10月には子会社のShiftallがDiver−Xの位置トラッキング技術「ContactTrack」に関する事業を買収した。25年12月に同社およびC.R.E.S.がファンコミュニティ構築・運営大手のクオンと資本業務提携した。
■事業シナジー強化
事業シナジーを見越した資本参加としては、バイオベンチャーのCO2資源化研究所、アグリベンチャーのプラントライフシステムズ、不動産仲介プラットフォームのエージェント・グロース(事業上の通称はケラー・ウィリアムズ・ジャパン)、弁護士保険のミカタ少額短期保険、NFT関連のブロックチェーンエンターテインメント事業を展開するシンガポールDEA社、子ども向けオンライン世界旅行のMimmyなどに出資している。
なお投資・事業承継事業を行うC.R.E.S.は、高橋書店グループおよびクオンのほか、劇団運営および公演のYTJ、クラウドシングルサインオンのインターナショナルシステムリサーチ、デジタル商社のStandage、スポーツコンバインや人材紹介のF&V、食品原料Web売買プラットフォームのICS−net、毛髪再生医療・次世代インプラントのオーガンテック、エンジニア派遣のネクサスホールディングス、IPO・IRテックのUniforce、経営・IRコンサルのストラテジー・アドバイザーズなどに出資している。
■日本クリエイティブ分野が主力
26年2月期(第2四半期より高橋書店グループのPLを新規連結)の分野別構成比は、売上高がプロデュース(開発・請負)47%、エージェンシー派遣28%、エージェンシー紹介10%、ライツマネジメント他16%、売上総利益がプロデュース41%、エージェンシー派遣18%、エージェンシー紹介28%、ライツマネジメント他14%だった。
報告セグメント別構成比(調整前)は売上高が日本クリエイティブ分野64%、韓国クリエイティブ分野5%、医療分野9%、会計・法曹分野4%、CRES分野(事業承継等のアドバイザリー事業)10%、その他(新規事業)8%、営業利益が日本クリエイティブ分野59%、韓国クリエイティブ分野▲1%、医療分野29%、会計・法曹分野2%、CRES分野13%、その他▲2%だった。また日本クリエイティブ分野の領域別構成比は売上高が映像(テレビ・映画)30%、ゲーム41%、Web26%、電子書籍・版権3%、新規エージェンシー2%、その他▲1%、営業利益が映像22%、ゲーム44%、Web28%、電子書籍・版権10%、新規エージェンシー▲0%、その他▲4%だった。なおCRES分野は事業承継・M&A等を展開するC.R.E.S.を中心に、高橋書店グループを含めた全6社で構成されている。その他は新規事業等の18社で構成されている。
事業領域8カテゴリ(同社10事業部門および34子会社)の構成比は、売上高がゲーム&ライツマネジメント29%、ブロードキャスティング&動画24%、プロモーション&マーケティング12%、メディカル&ヘルスケア9%、AI/DX・IT5%、プロフェッショナル・エージェンシー4%、Quality of Life4%、インキュベーション&デベロップメント13%、営業利益がゲーム&ライツマネジメント32%、ブロードキャスティング&動画15%、プロモーション&マーケティング14%、メディカル&ヘルスケア29%、AI/DX・IT3%、プロフェッショナル・エージェンシー1%、Quality of Life1%、インキュベーション&デベロップメント9%だった。
収益面面の特性として、医療分野の収益は季節要因で第1四半期と第2四半期(特に第1四半期)に偏重する。また高橋書店グループの収益は、第2四半期(4〜6月分を連結)が出版業界特有の商慣習によって出荷した商品の返品が集中する時期となるため営業損益が一時的に赤字となるが、第3四半期(7〜9月分を連結)は手帳・カレンダーの出荷が本格化して売上高・営業利益とも大幅に増加する特性がある。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。
■プロフェッショナル50分野構想
中長期成長戦略として「プロフェッショナル50分野構想」を掲げ、グループ資産を活用した商品・サービス・プロジェクト開発や事業領域拡大を推進している。株主還元については配当性向目標を30%水準としている。
基本戦略としては、多岐にわたる専門分野を持つグループ会社が各事業の強みを伸ばしつつ、相互連携を通じてクライアントと社会に貢献する価値を創出する「連峰経営」を目指し、プロフェッショナル分野のさらなる深耕、プロフェッショナル人材をベースとしたプロデュース事業の展開、異分野のプロフェッショナルを掛け合わせたプロデュース事業の展開、経営人材を含むC&Rグループの営業資産を組み合わせた事業承継・M&Aを推進する。この4つの基本戦略に基づき、グループ会社相互の連携によるシナジー効果を高める。
グループ資産を活かした商品・サービス・プロジェクトとしては、漫画家発掘・デジタル配信事業のプラットフォーム「漫画LABO」、クリニックの経営支援、メタバース関連のVR建築展示場「XR EXPO」、独自のVR映像配信技術を活用した低遅延VRリアルタイム配信システム・VR遠隔医療教育システム、AI需要予測「Forecasting Experience」、事業承継・M&A事業、アパレル分野のDXを支援する「sture(ストゥーラ)」、漫画に音楽や音声を融合した動画「モーションコミック」(プラットフォーム開発中)などがある。なお出資先である順天堂大学発ベンチャー企業ソラセンテスが開発する医用画像プログラム「TH―ZEY(ゼウス)」は、26年4月に一般財団法人日本品質保証機構(JQA)より医療機器認証を取得した。
アグリカルチャー分野の子会社コネクトアラウンド(アグリテックを活用した新たな農業ビジネスを展開する目的で22年4月設立)は、23年2月に川崎市中原区で6次化農業・実習施設「FUN EAT MAKERS 武蔵新城」を開設した。また25年6月には福島県大熊町で農・食・滞在の複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」をオープンした。26年1月末には福島県大熊町の複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」の来場者数が1万人を突破した。
日本最大級のクリエイティブ開発スタジオ「C&R Creative Studios」では25年12月にアニメ専門チームを組成した。国内AIアニメ制作のトップランナーであるPuriPrinceとの連携のもと、アニメ制作に課題を抱える企業に対して高品質なアニメ制作体制を提供する。26年2月には「C&R Creative Studios」のグローバル戦略の一環として、ゲーム開発分野における世界有数の外部開発サービスプロバイダーであるROOM 8 GROUPと両社の協業に関するLOI(意向表明書)を締結した。26年5月にはクリエイティブスタジオを移転・拡張する。
AI/DX分野の深耕では、24年3月に開始した中堅・中小企業向けAI/DX運用・オペレーション業務導入サポート「DXの森」が順調に拡大している。24年9月にはAIチャットボットの提供を開始、25年6月には生成AIのプロフェッショナルに特化した人材サービスの提供を開始した。また26年4月には子会社リヴァイが、企業向け生成AI人材育成パッケージ「アイトレ」の提供を開始した。
■26年2月期大幅増益で過去最高、27年2月期営業・経常増益予想
26年2月期の連結業績は売上高が前期比22.1%増の613億93百万円、営業利益が36.0%増の49億14百万円、経常利益が30.0%増の48億01百万円、親会社株主帰属当期純利益が81.0%増の40億75百万円だった。
大幅増収増益で過去最高だった。ゲーム、ブロードキャスティング、プロモーション、メディカルなどが伸長した。第2四半期よりPLを連結した高橋書店グループの影響を除くベース(売上高552億44百万円、営業利益42億23百万円、経常利益41億67百万円、親会社株主帰属当期純利益31億11百万円)でも過去最高だった。
前回予想(25年4月10日付の期初公表値、売上高600億円、営業利益50億円、経常利益50億円、親会社株主帰属当期純利益32億円)に対しては、売上高は13億93百万円上回った。利益面は、ゲーム分野の期初時点では計画していなかったクリエイティブスタジオ機能の移転・拡張(26年5月稼働予定)の影響で営業利益が86百万円、経常利益が1億99百万円それぞれ下回ったが、親会社株主帰属当期純利益は高橋書店グループ連結化に伴う税金費用減少、および連結子会社コネクトアラウンドにおける経済産業省「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」6億19百万円(特別利益に計上)により8億75百万円上回った。
配当は26年3月26日付で期末5円上方修正して前期比9円増配の50円(期末一括)とした。なお配当性向は25.8%となるが、同社は連結配当性向30%水準を基本方針としており、今回の配当は純利益から特別利益に計上した「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」による影響額を控除した金額に基づいて決定した。
カテゴリ別で見るとゲーム&ライツマネジメントは売上高が20.8%増の178億67百万円、営業利益が5.4%増の15億90百万円だった。増収増益だった。営業利益はクリエイティブスタジオ機能の移転・拡張、クレイテックワークスにおける先行投資の影響で伸び率が小幅にとどまったが、売上面は需要が全体として好調に推移したほか、バンダイナムコエンターテインメントとの合弁会社URS Gamesが25年4月より事業開始したこと、モントリオール支社を通じて海外から開発案件を受託したことも寄与して大幅増収だった。
ブロードキャスティング&動画は売上高が5.0%増の149億21百万円、営業利益が29.3%増の7億30百万円だった。増収増益だった。テレビ局向け人材派遣が堅調に推移したほか、子会社のウイング、シオン、シオンステージの採算改善も寄与した。
プロモーション&マーケティングは売上高が9.1%増の76億72百万円、営業利益が14.3%増の6億75百万円だった。増収増益だった。企業や官公庁等のプロモーション需要が高水準に推移した。
メディカル&ヘルスケアは売上高が9.0%増の57億87百万円で、営業利益が32.6%増の14億37百万円だった。増収増益だった。医師紹介事業が順調に伸長して過去最高の業績となった。
AI/DX・ITは売上高が10.4%増の32億41百万円、営業利益が2.1倍の1億27百万円だった。増収増益だった。生成AIコンサルティング事業が拡大した。ツールベンダー支援サービス「DXの森」では提携パートナーが順調に拡大した。なお資本提携先のAI企業Intumit社(台湾)は、25年7月にTPEx(タイペイ・エクスチェンジ)に上場した。
プロフェッショナル・エージェンシーは売上高が2.5%減の25億93百万円、営業利益が10.3%減の63百万円だった。減収減益だった。会計関連は復調傾向だが、法曹関連(弁護士)の人材紹介が低調だった。
Quality of Lifeは売上高が4.6%増の26億52百万円、営業利益が1.9%減の71百万円だった。増収だが減益だった。インター・ベルのファッション分野や、本社ビルで運営するイタリアンレストランは概ね順調だったが、建築分野は資材高騰の影響等でプロジェクトが遅延した。
インキュベーション&デベロップメントは売上高が4.9倍の79億99百万円、営業利益が12.6倍の4億53百万円だった。高橋書店グループ以外は先行投資段階だが、高橋書店グループの業績が第3四半期より本格寄与して増収増益だった。高橋書店グループの業績は、第2四半期(4〜6月分を連結)が出版業界特有の商慣習によって出荷した商品の返品が集中する時期となるため営業損益が一時的に赤字となるが、第3四半期(7〜9月分を連結)は手帳・カレンダーの出荷が本格化して売上高・営業利益とも大幅に増加する。参考値として高橋書店グループの業績は、第2四半期が売上高3億61百万円で営業利益4億57百万円の損失、第3四半期が売上高39億49百万円で営業利益7億62百万円、第4四半期が売上高18億39百万円で営業利益3億86百万円、累計(9ヶ月分)が売上高61億50百万円で営業利益6億91百万円だった。
なお、報告セグメント別(決算短信ベース)で見ると、日本クリエイティブ分野は売上高が12.2%増の395億円で営業利益(全社費用等調整前)が14.1%増の28億90百万円、韓国クリエイティブ分野は売上高が0.9%増の31億06百万円で営業利益が39百万円の損失(前期は10百万円の損失)、医療分野は売上高が8.9%増の57億82百万円で営業利益が32.7%増の14億37百万円、会計・法曹分野は売上高が4.4%減の23億36百万円で営業利益が14.2%減の99百万円、CRES分野は売上高が62億31百万円(同45百万円)で営業利益が6億43百万円(同43百万円)、その他の事業は売上高が6.1%増の44億36百万円で営業利益が1億06百万円の損失(同1億27百万円の損失)だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が138億39百万円で営業利益が14億21百万円、第2四半期は売上高が142億53百万円で営業利益が7億17百万円、第3四半期は売上高が174億59百万円で営業利益が16億30百万円、第4四半期は売上高が158億42百万円で営業利益が11億46百万円だった。
27年2月期の連結業績予想は売上高が前期比6.7%増の655億円、営業利益が6.8%増の52億50百万円、経常利益が7.3%増の51億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.8%減の33億50百万円としている。配当予想は前期と同額の50円(期末一括)としている。予想配当性向は31.6%である。
カテゴリ別計画はゲーム&ライツマネジメントの売上高が5.2%増の188億円で営業利益が8.4%増の17億25百万円、ブロードキャスティング&動画の売上高が3.2%増の155億円で営業利益が8.0%増の7億77百万円、プロモーション&マーケティングの売上高が5.9%増の82億円で営業利益が10.5%増の7億50百万円、メディカル&ヘルスケアの売上高が8.3%増の62億70百万円で営業利益が5.7%増の15億20百万円、AI/DX・ITの売上高が10.9%増の36億80百万円で営業利益が93.7%増の1億90百万円、プロフェッショナル・エージェンシーの売上高が6.4%増の25億円で営業利益が50.1%増の1億50百万円、Quality of Lifeの売上高が7.1%増の28億40百万円で営業利益が74.5%増の1億25百万円、インキュベーション&デベロップメントの売上高が21.8%増の97億45百万円で営業利益が50.1%増の6億80百万円としている。
親会社株主帰属当期純利益は前期の一過性要因が剥落して減益だが、売上高は各事業が順調に成長して増収、営業利益と経常利益はクリエイティブスタジオ機能移転・拡張に伴うコスト増加などを吸収して増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は26年2月期末より導入
25年10月に株主優待制度導入を発表した。毎年2月末日時点で1単元(100株)以上保有株主に対して、同社の子会社である高橋書店の商品(カレンダー、手帳等の選択制)を贈呈する。26年2月28日対象より実施した。
■株価は調整一巡
株価は決算発表に対してややネガティブ反応となったが、高配当利回りなども評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。4月17日の終値は1369円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円32銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS902円86銭で算出)は約1.5倍、そして時価総額は約315億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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2026年04月20日
クリーク・アンド・リバー社、27年2月期営業・経常増益予想で収益拡大基調、事業拡大とシナジーが寄与
【アナリスト銘柄分析の最新記事】
提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 07:23
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