
【旅行需要と決算ガイダンスが反転の試金石に】
■AI偏重が映す相場のゆがみ
株式市場では、日経平均株価が一時6万円台に乗せた後も高値圏で推移する一方、物色の中身はAI・半導体関連株に大きく偏っている。アドバンテスト<6857>(東証プライム)、ソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)、イビデン<4062>(東証プライム)など指数寄与度の高い銘柄が日経平均を押し上げ、NT倍率は16倍近辺まで上昇し、過去最高水準に達した。日経平均の上昇感とは裏腹に、TOPIXの上昇率は限られ、東証グロース市場でも軟調な銘柄が目立つ。相場全体が強いというより、指数寄与度の大きい一部銘柄が市場心理を支える構図といえる。
■旅行需要は底堅いが、関連株は置き去り
こうした局面で見直し余地が浮上するのが、AI相場の圏外に置かれてきたGW関連株である。JTBが4月2日に発表した2026年ゴールデンウイーク旅行動向見通しでは、4月25日〜5月7日の総旅行者数を2447万人(前年同期比1.9%増)、総旅行消費額を1兆2876億円(同1.1%増)と予想した。国内旅行は近場・短期・自家用車利用が中心となる一方、海外旅行は韓国、台湾、東南アジアなど近距離方面が人気とされる。物価高で支出を抑える動きは残るが、旅行意欲そのものは底堅い。
■重荷はあるが、ホテル株には再編思惑
もっとも、GW関連株には逆風もある。燃油市況の高騰を受け、5月発券分から国際線燃油サーチャージが大幅に引き上げられ、航空運賃の上昇圧力となっている。中国からの訪日需要も弱含む。日本政府観光局の2026年3月推計では、訪日外客数全体は361万8900人と3月として過去最高となったが、中国からの訪日客は29万1600人、前年同月比55.9%減と大きく落ち込んだ。こうした濃淡は、ホテル、旅行代理店、レジャー施設、鉄道・航空株の業績見通しを見極めるうえで重要な材料となる。
■決算ガイダンスが反転の焦点
一方で、ホテル業界では再編や提携の動きも出ている。藤田観光<9722>(東証プライム)とワシントンホテル<4691>(東証スタンダード)は会員プログラムの相互利用を4月から開始した。両社会員は相互に施設予約やポイント利用が可能となり、合計約150万人規模の会員基盤を活用する形となる。市場ではAI関連株への資金集中が続くが、GW明けの決算発表で旅行需要の底堅さや稼働率改善、保守的すぎない業績見通しが示されれば、低PERで放置された関連株の見直しにつながる可能性がある。焦点は、相場の主役交代ではなく、過度に無視された銘柄群へ資金が分散するかどうかにある。
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