
■米国側と事前調整し制裁リスクを確認、中東輸送不安の中で例外ルートを活用
ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で生産された原油を積んだタンカーが、日本に到着する見通しとなった。エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が封鎖状態となって以降、日本がロシア産原油を調達するのは初めてとされる。報道によると、今回の貨物は石油元売りの太陽石油が調達したもので、愛媛県内の拠点に到着する見通し。ウクライナ侵攻に伴う欧米の対露経済制裁が続く中、同事業はエネルギー安定供給の観点から制裁の対象外とされており、経済産業省幹部も明らかにしている。
■日米連携で制裁リスク回避、供給網の多角化図る
調達の背景には、中東情勢の緊迫化に伴い、原油輸送リスクが高まった日本の事情がある。経済産業省は事前に米国側と調整し、制裁リスクがないことを確認した上で今回の輸入を容認したという。太陽石油側は、今回の対応が政府要請に基づくスポット的な措置であり、恒常的なロシア依存に戻る動きではないと説明している。中東産原油の輸送回復が見通せない中、調達先を柔軟に切り替える多角化の重要性が、エネルギー安全保障上の課題として浮き彫りになった。
■権利維持に成功した日本企業、ロシアも継続容認
サハリン2の権益を巡っては、ロシア政府が2022年に運営主体の権利を新設会社へ移管する大統領令を出した。これに対し、参画する三井物産<8031>(東証プライム)(出資比率12.5%)と三菱商事<8058>(東証プライム)(同10.0%)は、ロシア政府への再申請を経て持分を維持している。ロシア側が新体制への参画を条件に日本企業の権利継続を承認した形であり、結果として日本側は資源権益を維持した。同プロジェクトは日本の液化天然ガス(LNG)供給においても、戦略的な重要性を持ち続けている。
■エネルギー安保の重要性再認識、市場も注視
今回のニュースは、制裁下でも「例外ルート」を維持・活用する日本政府の姿勢を示すものとなった。株式市場では、サハリン2に関与する三井物産や三菱商事などの総合商社が、資源権益と調達能力の観点から改めて注目されている。一方で、ロシアを巡る地政学リスクや制裁動向は、依然として予断を許さない。エネルギー調達の多角化が急務となる中、今後も国際情勢を見極めながら、安全保障と経済制裁のバランスを取る難しい舵取りが求められる。
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