
■米国大手テックは超巨額AI設備投資競争に突入
米国大手テックの26年AI関連設備投資は膨大な金額である。アマゾン、グーグル親会社アルファベット、マイクロソフト、メタの4社の自社データセンター網構築などAI関連設備投資は、早くも合計7250億ドル(113.8兆円)に上方修正されている。
これらの大手4社は25年も巨額のAI関連投資を行っている。26年はさらに設備投資競争が拡大・加速されている。人類史上かつてない超巨額の設備投資が行われている。その設備投資競争が巻き起こす需要・経済効果は凄まじいものになっている。
例えばグーグルなど26年AI関連設備投資は、最大で1850億ドル(29兆円)としていたのだが、1900億ドル(29.8兆円)に上方修正。巨額投資は技術革新と追い掛けっこであり長期で行われる見込みである。30年代前半には累計1兆ドル(157兆円)投資に達するトレンドになっている。
これらテック4社は、米国スケールでは「大手4社」だが、日本レベルでいえば売り上げ・営業利益など収益額では「巨大大手4社」といったほうが実感に合っている。巨額の設備投資に耐えられる収益基盤を一応備えている。
■AIでトップ企業を目指し世界市場制覇を狙う
巨額のAI関連設備投資については、利益リターンは生み出されるのか、大丈夫なのか、という「AIバブル」警戒論が時々ぶり返されている。確かにそれも分からないではない。大手4社以外の収益基盤が弱い先進テック企業などでは、設備投資過剰という問題が取り沙汰されている。
株式市場などでは、重宝にこの警戒論を使っている。AIで相場を盛り上げて、それと反対に相場を崩したいときにはこの警戒論を持ち出して低迷を演出している。
それはともかく、大手テック4社のAI関連への巨額設備投資は、4社それぞれ自社がAIでトップ企業になることを目指しての戦略行動である。手をこまねいて遅れをとれば、敗北でしかない。トップ企業となってAIの世界市場を制覇するという戦略で巨額設備投資に資金を投下している。
■資本主義の原点=生きるか死ぬかの苛烈なAI巨額設備投資競争
トップ1位企業、あるいは2位企業になることができれば莫大な利益リターンが得られる。「ウィナー・テイクス・オール」(勝者総取り)、生きるか死ぬか、そうした覚悟が巨額のAI関連設備投資競争という経済行動を支えている。
市場に生き残れるか脱落するのか、という苛烈な競争を当たり前に行っていること自体が米国経済の強みにほかならない。
資本主義の原点、大手テック企業なのだからこれでよいと現状に安住していない。ひたすら次の巨大市場制覇を狙って膨大なAI設備投資競争を行っている。もちろん、大手テック4社は収益面で巨額資金を投入できる体力はあるのだが凄まじいというしかない。
日本でもデータセンターなどAI関連設備投資が活発化している。しかし、日本企業としたら、スケールがあまりに違い過ぎて、ある意味驚いてみているしかない次元――。
■マーケットがビジネスチャンスを生み出している
米国ではAI関連設備投資が経済を活性化させている。データセンターをつくるには用地が必要になる。地方の用地が活用され、建設需要をもたらしている。AI需要で電力が2〜3倍規模で必要になるという予測から電力企業の発電設備増強投資にも波及している。
データセンターを稼働させる設備投資では、大量の通信用光ファイバー、AIサーバ用メモリ、パワーなど半導体、AIサーバから発生する猛烈な高熱を冷却する空冷、液冷、水冷設備などの需要が生み出されている。
「AI特需」といえるものだが、これらは激しい技術革新競争を伴いながら新たな需要を巻き起こしている。
マーケットがビジネスチャンスを生み出している。米国のみならず、それは世界中同じである。日本でも少なからず同じ現象が起こっている。国が重点産業分野に財政出動するなど“社会主義”をやっている場合ではない。市場経済を信じなければ強い経済は再生しないことを肝に銘じるべきである。(経済ジャーナリスト)
(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営〜クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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