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2026年05月05日

人は先回り玉 肩代りを嫌がる本能がある=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)※最新の情報に修正を加えてあります

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■人は先回り玉 肩代りを嫌がる本能がある

 株式市場でいう「玉」とは、投資家が保有する株式や売買注文を指す。買われた株は、いずれ売りに回る可能性を持つ。とくに好材料を見込んで先に買われた株は「先回り玉」となり、材料発表後には利益確定売りの圧力になりやすい。相場には、他人が安く仕込んだ株を高値で肩代わりしたくないという心理が働く。ここに、好材料が出ても株価が素直に上がらない理由がある。

 良い商品を納得できる価格で提供すれば、消費者は素直に買ってくれる。すでに似た商品を持っていても、便利そうだ、面白そうだ、少し試してみたいと思えば、もう一つ買うこともある。ところが株式市場では、同じようにはいかない。企業が好決算を発表しても株価が上がらないことがある。期待された材料が出たにもかかわらず、むしろ売られて下げる場面さえある。ここに株の難しさがある。

 その背景には、投資家の情報収集力と予想力が高まったことがある。現在の市場では、決算発表や新製品、業績回復といった材料が出る前に、多くの投資家が先回りして買っている。つまり、好材料が発表された時点では、すでに株価に織り込まれている場合が少なくない。発表を待っていた投資家の中には、「ここで利益を確定しよう」と考える先行組も多い。そのため、よほど市場予想を大きく上回る内容でなければ、利食い売りを吸収してさらに上昇することは難しい。

 株価は業績だけで動くものではない。業績が良くても、すでに買われ過ぎていれば上値は重くなる。反対に、まだ注目されておらず、買い残した投資家が多い銘柄であれば、好決算をきっかけに素直に評価されることもある。つまり、株式投資では企業の中身と同じくらい、需給の見極めが重要になる。どれほど良い材料でも、先に買った投資家の売りを受け止めるだけの買い手がいなければ、株価は伸びない。

 好決算が期待される銘柄に投資する際は、まずチャートを確認したい。少なくとも3〜6カ月前から出来高が急増していないかを見る必要がある。すでに大きな出来高を伴って上昇している場合、そこには高値で買った投資家や、材料発表後に売ろうと待つ投資家が多く潜んでいる可能性がある。また、ネット、新聞、雑誌などで何度も取り上げられていないかも重要な確認点である。話題になり過ぎた銘柄は、すでに多くの人が知り、多くの人が買っていることが多い。

 反対に、まだあまり騒がれておらず、出来高も過熱していない銘柄であれば、株価が上がったときに売りたい「シコリ玉」は少ない。そうした銘柄は、好決算や好材料が出た際に素直に評価されやすい。株式市場には、「先に買った人の株を高値で肩代わりしたくない」という本能に近い心理がある。だからこそ、材料の良し悪しだけでなく、その材料をどれだけの人が先に買っていたのかを読むことが大切になる。株はニュースを買うだけではなく、ニュースの前にどれだけ期待が積み上がっていたかを見抜くゲームでもある。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:12 | コラム