
【金利上昇と人気テーマ集中の陰で、低PER銘柄に見直し余地】
■人気テーマの陰で放置される不動産株
年初来安値を更新した銘柄のなかには、個別企業の悪材料だけでなく、セクター全体が市場から敬遠されているケースも少なくない。とくに不動産株と医薬品株は、AI・半導体関連株に資金が集中する相場の陰で、出遅れ感を強めている。
不動産株は、日本銀行の金融政策正常化を背景に長期金利が上昇し、住宅ローン金利も相次いで引き上げられるなど、事業環境の逆風が意識されている。それでも、堅調な需要を背景に前期業績を上方修正し、配当を増額する銘柄は相次いだ。しかし、市場の評価は鈍く、依然として割安な年初来安値圏に沈む銘柄が多い。
低PERで売られ過ぎ感が目立つ不動産株としては、前期業績を上方修正し、配当も増額した明和地所<8869>(東証スタンダード)のPER5.2倍をはじめ、サンヨーホームズ<1420>(東証スタンダード)の6.4倍、フェイスネットワーク<3489>(東証スタンダード)の6.5倍、エスリード<8877>(東証プライム)の8.2倍、スターツコーポレーション<8850>(東証プライム)の9.7倍、東京建物<8804>(東証プライム)の11.5倍前後が挙げられる。
■医薬品株にも見直し余地
ただし、不動産セクターでは、先行して決算を発表した同業他社のなかに、次期の金利見通しが不透明であるとして業績予想を慎重に見積もるケースも出ている。今週(5月11日から15日)にかけて集中する各社の決算発表では、今期ガイダンスの内容が株価評価の分水嶺となる。
一方、医薬品株にも見直し余地がある。相場にはかつて「困ったときはバイオ頼み」とのアノマリーがあったが、近年のAI関連株主導の市場では、医薬品株やバイオ関連株に資金が向かいにくい状況が続いてきた。その結果、業績面に一定の底堅さを持つ銘柄まで年初来安値を更新している。
売られ過ぎ感のある医薬品関連銘柄としては、住友ファーマ<4506>(東証プライム)、日本新薬<4516>(東証プライム)、理研ビタミン<4526>(東証プライム)、扶桑薬品工業<4538>(東証プライム)、ツムラ<4540>(東証プライム)などがある。各社は本日13日から明日にかけて決算発表を予定しており、反転のターニングポイントとなるか注目される。
■決算ラッシュが反転の試金石に
さらに、周辺テーマでありながらバリュエーション面で放置されている新田ゼラチン<4977>(東証スタンダード)、ダイヤモンドエレクトリックホールディングス<6699>(東証スタンダード)、KYORITSU<7795>(東証スタンダード)、ダイコー通産<8023>(東証スタンダード)にも目配りしたい。
資金が一部の人気テーマに集中する相場では、出遅れセクターが放置されやすい。しかし、決算発表期には、業績見通しや株主還元策をきっかけに市場の評価が急速に変わることがある。不動産、医薬品、そして周辺の出遅れ株は、今週の決算ラッシュで反転のきっかけをつかめるかが焦点となる。
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