企業情報オンライン(総合版) - You Tube
2026年05月16日

相場に向かうは真っ白であれ=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)※最新の情報に修正を加えてあります

soubanimu1.jpg

■相場に向かうは真っ白であれ

 刑事ドラマでは、経験豊富なベテラン刑事が、勢いのある若手刑事に「最初から決めつけるな」と諭す場面がよく描かれる。長年の経験を積んだ刑事ほど、現場を見た瞬間に過去の事件と重ね合わせ、直感で答えを出したくなる。しかし、事件の真相は先入観の外側にあることも少なくない。だからこそ、ベテランほど「現場を丁寧に見る」という基本に立ち返るのである。

■経験が判断を曇らせることもある

 株式市場も同じである。投資経験を重ねるほど、「自分の見方が正しい」「市場の評価は間違っている」と考えやすくなる。過去に似た相場を見たことがある、以前に同じような銘柄で成功したことがある、といった記憶が判断を早める。しかし、マーケットには自分以上に経験を積んだ投資家も多く、資金力や情報量、売買の時間軸もそれぞれ異なる。そこでは、あらゆる思惑と損得がぶつかり合っている。

 思い込みを持ったまま相場に向かえば、刑事ドラマなら冤罪を生みかねず、投資の世界では損失につながりかねない。上がるはず、下がるはず、割安なはず、割高なはず――こうした「はず」という言葉が強くなった時ほど注意が必要である。市場は投資家の期待どおりには動かない。むしろ、自分の見方に固執した瞬間から、相場の変化を見落としやすくなる。

■白紙の目で相場の声を聞く

 相場に向かうときは、まず目の前の値動きを素直に受け止めることが大切である。なぜ上がっているのか、なぜ売られているのか、出来高は伴っているのか、業績や材料は株価にどこまで織り込まれているのか。さらに、直近の上昇率から過熱感はないか、反対に下落が行き過ぎていないかも確認したい。現場100回とまではいかなくても、少なくとも自分の結論を急がず、複数の視点から点検する姿勢が欠かせない。

 もちろん、どれほど冷静に調べても、相場が思い通りに動くとは限らない。だからこそ、投資では「自分が正しい」と証明しようとする姿勢より、「市場はいま何を示しているのか」を読み取る姿勢が重要となる。短期売買を徹底する投資家は別として、中長期で資産形成を考える投資家ほど、まず主観を横に置き、白紙の目で相場と向き合うことが求められる。

 「相場に向かうは真っ白であれ」とは、経験を否定する言葉ではない。むしろ、経験があるからこそ陥りやすい思い込みを戒める言葉である。過去の成功体験や失敗体験に縛られず、目の前の市場をそのまま見る。相場の声を聞く前に自分の答えを決めない。その謙虚さこそ、現代の投資家にも通じる大切な心得といえる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

◎日刊株式投資情報新聞(無料)登録受付中!


提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:02 | コラム