
■世界同時株安に原油高が重なり、インフレ再燃懸念が強まる
またまた世界同時株安である。しかも日米両市場は、揃って前週末15日に急落、「金曜日の引けダレ」で今週明けのマーケットへ向け不吉な黒雲が垂れ込めた。
東京市場では、3月期決算会社の業績発表が一巡し、鳴り物入りで囃し立てられた米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席の米中首脳会談も終了したにもかかわらず、ハシゴを外されたような崩れ方となったためだ。トランプ大統領は、中国から手ぶらで帰国したとはいえないものの、大きな成果も得られず、返す刀でイランへの攻撃再開を示唆し、またまたホルムズ海峡を巡る緊張はなお高まり、原油先物(WTI)価格は1バーレル=105・42ドルと続伸し、むしろインフレ再燃懸念を強めるマイナスの結果となった。
■AI・半導体関連株も崩れ、債券安・金利上昇のダブル安が重荷
しかもこれまでマーケットの逆風を押し返して独り勝ちして最高値更新を牽引してきたAI(人工知能)・半導体関連株も、長期金利上昇局面では割高株が売られやすいとのセオリー通りに値を崩した。画像処理半導体で世界トップのエヌビディアは、ジェンスン・ファン最高経営責任者がトランプ大統領の訪中に随行したことで巨大ディール(取引)期待を高め4%超急伸したが、その上昇幅を上回って急反落した。世界同時株安と世界同時債券安・金利上昇のダブル安だから無理もない。しかもこの金利上昇が半端ではなく、債券売りが、スピード違反のように加速しているのである。
■日米で金利上昇圧力が強まり、「金利が高くなる世界」へ警戒感
日本の新発10年物国債利回りは、前週末15日に一時、2.730%と約29年ぶりの高水準となり、30年物国債利回りは1999年の発行以来、初めて4%台に乗せた。日本銀行は、6月15日から16日に金融政策決定会合を開催予定だが、政策金利引き上げの可能性が強まっている。
米国の連邦準備制度理事会(FRB)も、パウエル議長が退任してウォーシュ新議長が、6月16日から17日に開催予定のFOMC(公開市場委員会)に臨むが、トランプ大統領が圧力を掛け続けてきた利下げどころか利上げの確率の方が高まっている。日本の金融市場は、超金融緩和の「ゼロ金利世界」から「金利のある世界」に変わり、さらに「金利が高くなる世界」に突き抜け、景気、株価にも逆風となることが懸念されている。もし補正予算を編成して経済対策などとなれば、財政悪化懸念で債券売りに歯止めがかからなくなる。
■銀行株には利ザヤ拡大期待、再編・還元・低PBRが見直し材料に
大ピンチである。しかしこの大ピンチが大チャンスになるのが、金利敏感株である。代表株は銀行株で、金利上昇が利ザヤ拡大、運用環境好転として業績を押し上げる。再燃した預金獲得競争に勝ち抜くためにも業界再編も進んでおり、前週13日にはあいちフィナンシャルグループ<7389>(東証プライム)と三十三フィナンシャルグループ<7322>(東証プライム)が、経営統合の基本合意を発表した。
しかも銀行株の基本的なバリュエーションは申し分ない。今回の決算発表でも、揃って前期・今期とも最高業績を更新する見通しに加え増配、自己株式取得、株主優待制度の導入、株式分割などプラスアルファのサポート材料満載である。しかも地銀株のなかには年初来高値追いとなっている銘柄がある一方、いまだにPBR1倍割れの割り負け株も数多く放置されているのである。
■日銀会合への期待を背景に、プラスアルファ銘柄にお宝株探しの余地
日本銀行だって後押ししてくれそうだ。前回の今年4月27日〜28日の金融政策決定会合では、政策金利が据え置かれ、肩透かしをされた銀行株の株価は軒並み下ぶれた。しかし今度こそ、リフレ派の高市早苗首相が異議を唱えようが唱えまいが、6月の次回会合ではマーケットの期待に応えてくれるはずだ。「大ピンチが大チャンス」になる可能性があるとすれば、銀行株のなかから株式分割株、自己株式取得株、低PER株、低PBR株など「プラスアルファ」満載のお宝銘柄に「大チャンス」を期待するのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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