
■食材・光熱費・人件費の上昇が収益を圧迫
東京商工リサーチ(TSRデータインサイト)は5月17日、2026年1−4月の「居酒屋」倒産が88件に達し、前年同期比54.3%増と急増したと発表した。同社の企業データベースから「居酒屋」倒産(負債1千万円以上)を抽出し、分析した。1989年以降、同期間の倒産件数は2024年の59件を大きく上回り、過去最多を更新した。食材や光熱費の高止まりにより、肴の値上げや材料、ボリュームの変更を迫られる店舗が増え、値上げ疲れによる客足の鈍化も重荷となっている。
居酒屋は大手チェーン店と地元店が共存し、会社員、学生、ファミリー客まで幅広い層を取り込んできたため、その景気は世間の消費動向を映す鏡でもあった。ITバブル崩壊後の2003年に初めて20件台に達し、2007年は道交法改定直前で39件、震災直後の2012年は利用控えが浸透し50件へ増加した。一方、コロナ禍では休業協力金や各種資金繰り支援により倒産は抑制されたが、同禍の落ち着きとともに食材、光熱費、人件費の上昇が押し寄せ、焼肉店など専門料理店との競合やデリバリーの普及も重なった。
値上げが相次ぎ、居酒屋の魅力だった5,000円以下の飲み放題コースが減ると、消費者の財布の紐は一段と固くなった。コロナ禍を契機に忘年会、新年会、歓送迎会、取引先との接待も減少し、働き方改革や在宅勤務、残業減も来店機会を減らしている。居酒屋以外で飲酒を控え、焼肉店やイタリアン料理に向かう客も増え、宅飲みなど予算を抑える生活防衛策も広がる。好調なインバウンド需要を取り込めない居酒屋では、価格競争と客離れの悪循環が続き、淘汰はしばらく続きそうだ。
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