6月3日、キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)の株価が急伸した。一時は前日比で制限値幅の上限(ストップ高)水準まで買われ、時価総額でトヨタ自動車<7203>(東証プライム)を上回り、ソフトバンクグループ<9984>(東証プライム)に次ぐ東証プライム市場2位に浮上する場面があった。前日に開催された「Investor Day」で示された、人工知能(AI)市場の拡大をにらんだ成長戦略が買い材料視された形だ。生成AIの普及に伴う半導体需要の拡大を同社が取り込むとの期待感が、投資家の間で一気に高まっている。

■AIインフラ市場を成長領域に位置付け
同社は6月2日、「Investor Day」を開催し、AI推論の活用が本格化する「AI推論時代」における成長戦略を発表した。最先端のフラッシュメモリとAI推論用途に最適化したSSD製品により、AIインフラの根幹を支える方針を示した。
■ストレージをGPUの拡張メモリに活用
AIの活用は「学習」から「推論」へ移行し、エージェント型AIやフィジカルAIへの進化に伴って推論処理は飛躍的に増加する見通し。同社は、次世代AIシステムでストレージをGPUの拡張メモリとして活用する動きが加速し、フラッシュメモリ・SSDが中核的な構成要素になるとしている。
■データセンター向け売上比率を60%以上へ
同社はスマートフォンやPC向け市場の強固な事業基盤を維持しつつ、戦略の軸足をAIインフラ市場へ移す。中長期的にはデータセンター・エンタープライズ市場向けの売上比率を60%以上に引き上げる。複数年の売買契約(LTA)の締結を進め、売上確度と利益の質を高め、安定的で高収益な成長を目指す。今後3年間、高成長・高収益分野への設備投資に年間約4700億円、研究開発投資に年間約2300億円を投じる。
■SSD3シリーズと第10世代BiCS FLASHを展開
製品面では、KIOXIA CMシリーズ、KIOXIA GPシリーズ、KIOXIA LCシリーズを展開する。CMシリーズはKVキャッシュ保存用途に適し、NVIDIAのContext Memory Storage(CMX)に対応する。GPシリーズは100M IOPS以上の処理性能を実現し、Storage−Nextに対応する。LCシリーズは245TBモデルをラインアップする大容量SSD。第10世代BiCS FLASHは今年夏ごろにサンプル出荷を開始し、KIOXIA CMシリーズなどへ順次搭載する予定だ。2026年度第1四半期中にネット・キャッシュ・ポジションを達成する見込みで、余剰累積フリーキャッシュフローから株主還元も検討する。
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