
■日経平均は急落、AI・半導体株が牽引役から重荷に
6万8000円も6万9000円も一通過点、7万円も指呼の間と期待された日経平均株価が、そこから前週末5日にあっという間に2900円安となった。牽引役だったAI(人工知能)・半導体関連株が、今度は悪役銘柄として足を引っ張った。6月12日に米国市場で新規株式公開(IPO)されるスペースXが、邪魔立てしているという見方が有力だ。史上空前の超大型IPOに乗り換えるため、日米のAI・半導体関連株が換金売りに見舞われているというのである。
■金融政策と地政学リスクをにらみ日々1000円幅の荒い展開も
ならば12日を越えればイベント通過で日経平均株価は、再び7万円台を目指すのか。それとも再発進には、6月15日から17日まで予定されている日米中央銀行の金融政策決定会合やFOMC(連邦公開市場委員会)の結果まで待たなくてはならないのか。どちらに転ぶにしろ、米国とイランの停戦協議の成否も絡み、日経平均株価は日々、1000円幅で上昇、下落を繰り返し、振り回されそうである。
■超値がさ化で買いそびれ投資家に広がる「置いてけぼり」感
それにしてもこのAI・半導体関連株には、えらい目に遭った。「置いてけぼり」になった銘柄と投資家が数知れないのである。AI・半導体関連株に飛び乗りコミットした投資家は笑いが止まらないのだろうが、買いそびれて置き去りにされた投資家は諦めと泣きの毎日を余儀なくされた。分断と格差拡大である。目をつぶって飛び付き買いしようにも、1万円どころか2万円、3万円さえも珍しくなくなった超値がさ化とスピードの速さが大きなバリアーとなった。
■NISAの取得しやすい投資単位を超え資産課税論議の火種にも
岸田文雄内閣当時の「資産所得倍増プラン」以来、NISA(少額投資非課税制度)は拡大・強化されてきたが、このNISAで取得しやすい投資単位の上限をはるかに超える。富裕投資家のみの金城湯池であり、イナゴ投資家はまるでお呼びでない。こうした状況が未来永劫変わらないとすれば、消費税減税の財源問題が政治問題化しているなか、資産課税の強化、有価証券取引税の引き上げなど、富裕層敵視の議論を呼び起こす可能性も否定できない。
■東証の投資単位要請を背景に株式分割ラッシュが加速
東証も、NISA拡大のために上場会社に対して望ましい投資単位として5万円以上、50万円未満とすることを要請しており、これをオーバーしている銘柄には、その説明責任と対応の具体策公表を求めている。日経平均株価が6万円、7万円と史上最高値を追い、個別銘柄も超値がさ化する結果、何が起こっているかといえば、投資単位当たり金額を引き下げ、投資しやすい環境を整えるための株式分割ラッシュである。
■東京エレクトロンも1対5分割と自己株式取得を発表
AI・半導体関連のトップバッターの東京エレクトロン<8035>(東証プライム)も、今年5月29日に株式分割(分割比率1対5、基準日9月30日)と自己株式取得を発表したばかりで、データセンター関連の電線株も軒並み株式分割を実施済み、または予定している。
■過去の分割後4.2倍化が中長期の権利取り妙味を示唆
東京エレクトロンの株価は、5月29日の株式分割・自己株式取得発表を受け、6月4日につけた実質最高値6万3660円まで約1万1000円上昇し、前週末5日はおよそ4900円安と急反落した。ただ同社株は、2023年も同年3月31日を基準日に1株を3株に分割しており、株価は権利付き最終売買日の終値4万8320円に対して一時、権利落ち理論値を下回る1万4810円まで調整したが、足元では6万3600円と4.2倍化している。仮に日米両市場でなお「スペースX・ショック」が続き、相場全般に調整が続くとしても、中長期スタンスでは株式分割の権利取りが有効であることを示唆しているのかもしれない。
その観点から株式分割を予定している銘柄を一覧すると、足元で6月26日を権利付き最終売買日とする銘柄は、今年3月末を基準日とした73銘柄には及ばないものの、29銘柄と意外に多い。
■6月末割り当て銘柄は発表済み50銘柄の58%を占める
3月末割り当ての73銘柄は、2026年1月から5月末までに株式分割を実施した102銘柄の71%に達した。一方、今年6月から9月末までに株式分割を発表済みの50銘柄は、基準日が6月末、7月末、8月末、9月末とさまざまだが、6月26日に権利付き最終売買日が迫っている銘柄が29銘柄あり、その58%の比率は3月末割り当て銘柄に次ぐ第2位となっている。もちろん株式分割は、これから9月末割り当て、10月末割り当てなど、さらに発表に踏み切る銘柄の増加が有力視されるが、まずは6月末割り当ての株式分割銘柄の動向が要注目となる。
東京エレクトロンと同様に、株式分割とともに実質増配、業績の上方修正、優待制度新設・拡充などのプラスワン、プラスツー、プラススリーがオンしたセット銘柄から、「置いてけぼり」回避に向けた権利取りの優先順位がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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