
■前場は2547円安、6万4000円割れ場面も
週明け6月8日の東京株式市場は、前週末の米国株急落を受けて大幅続落で始まった。日経平均株価は前営業日比640円56銭安の6万5947円56銭で寄り付き、その後も売り圧力が強まり、前場終値は2547円72銭安の6万4040円40銭と急落した。東証株価指数(TOPIX)も104.98ポイント安の3844.11と大幅に下落した。取引時間中には一時6万3406円66銭まで下げ、前日比で3100円超安となる場面があり、5月28日以来、約1週間ぶりに6万4000円を下回った。
■米半導体株急落と中東情勢の不透明感が重荷
下げを主導したのは、AI(人工知能)・半導体関連株である。前週末の米国市場では、5月の米雇用統計で就業者数が市場予想を上回り、米利上げ観測が強まったことからハイテク株を中心に売りが広がった。主要株価指数が大きく下落し、半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)も10%安となった。この流れを東京市場も引き継ぎ、最近の急上昇で過熱感が強まっていたAI・半導体関連株に利益確定売りが膨らんだ。
■海外投機筋の先物売りも下押し、中東情勢悪化でリスク回避
急落の背景には、中東情勢の先行き不透明感もある。イラン情勢の混迷やホルムズ海峡を巡る警戒感から原油高への懸念が広がり、インフレ再燃や企業収益への悪影響が意識された。米高金利警戒と中東リスクが重なったことで投資家心理は急速に悪化し、海外投機筋による株価指数先物への断続的な売りが日経平均を下押しした。スペースXの超大型IPO観測を前にした換金売りも、需給悪化要因として意識されている。
■東証要請を背景に株式分割ラッシュが焦点
日経平均が7万円を視野に上昇する過程で、AI・半導体関連株は数万円単位の超値がさ株となり、個人投資家やNISA口座では手掛けにくい状況が生まれていた。東証は投資単位を「5万円以上50万円未満」に収めるよう要請しており、これを背景に株式分割の動きが広がっている。東京エレクトロン<8035>(東証プライム)は5月29日、1対5の株式分割と自己株式取得を発表した。同社は過去の分割後にも株価が大きく上昇した実績があり、今回も投資家層の拡大が焦点となる。
■6月末分割銘柄は好材料とのセットで選別
今後は6月26日の権利付き最終日に向け、6月末基準日の株式分割29銘柄が注目される。日東紡<3110>(東証プライム)、古河電工<5801>(東証プライム)、住友電工<5802>(東証プライム)はAI・データセンター関連として大幅分割が予定され、古河電工と住友電工は増配も伴う。三洋貿易<3176>(東証プライム)、FOOD&LIFE COMPANIES<3563>(東証プライム)は業績上方修正と増配を合わせた内容で、LAホールディングス<2986>(東証グロース)、京阪神ビルディング<8818>(東証プライム)は増配と株主優待新設を打ち出した。相場は中東情勢、米金利、日米中銀会合をにらんで波乱含みだが、業績や株主還元を伴う分割銘柄には権利取り妙味が残る。
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