
■悪用リスクで限定公開にとどめてきた高性能モデル、安全対策を備え開放
米Anthropicは6月9日、最上位「ミュトス」級の能力を持つ新AIモデル「Claude Fable 5」の一般提供を開始したと発表した。同級モデルは、従来の「Opus」を上回る高い能力を持つ一方、サイバー攻撃や高度な研究分野で悪用されれば危険性が高いとして、これまで一般公開が見送られてきた。今回、同社は強力な安全対策を整えたことで、初めて一般ユーザー向けに開放した。
Fable 5は、ソフトウェア開発、科学研究、財務分析、画像や表の読み取りなど、幅広い分野で高い性能を発揮する。米Stripeのテストでは、通常なら手作業で2カ月以上かかる5000万行のコード移行を1日で完了した。複雑な資料を読み解く知識作業や、長期タスクを自律的に進める能力も向上しており、同社は「これまで一般提供したどのモデルよりも優れる」としている。
■危険な用途は「Opus 4.8」へ自動切り替え
ただし、高性能化は利便性だけでなくリスクも伴う。Fable 5のようなモデルは、使い方によっては脆弱性の発見、攻撃手順の作成、生物・化学分野の危険な研究支援などに転用される可能性がある。このため、同社は独立したAIシステム「分類器」を導入し、サイバー攻撃、生物・化学、モデル能力の「蒸留」に関連する危険なクエリを検知する仕組みを設けた。
危険性があると判断された場合、Fable 5本体ではなく、次に高性能な「Claude Opus 4.8」が応答を引き継ぐ。完全に拒否するのではなく、安全性を確保しながら実用性を保つ狙いだ。作動頻度は全体の5%未満で、95%以上の利用ではFable 5をそのまま使えるとしている。外部検証でも、安全策を全面的に無効化する重大な突破手法は検出されなかった。
一部制限を解除した上位版「Claude Mythos 5」は、米国政府との共同事業などを通じ、サイバー防衛者や重要インフラ事業者など信頼された限定ユーザーに提供する。新薬設計やゲノム研究などへの活用も見込む。両モデルの価格は100万入力トークンあたり10ドル、100万出力トークンあたり50ドル。一般向けのFable 5は同日からAPIなどで利用でき、サブスクプランでの無料提供は6月22日までとなる。
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