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2026年06月14日

【マーケットセンサー】東京エレクトロンと電線株に見る株式分割の再評価余地

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■株式分割は「値がさ株相場」の次の焦点に

 東京市場で株式分割の再評価余地が改めて意識されている。起点となったのは、AI・半導体関連の代表格である東京エレクトロン<8035>(東証プライム)である。同社は5月29日、9月30日を基準日とする1株を5株への株式分割と、上限1500億円の自己株式取得を発表した。発表前の5月29日終値5万2420円から買いが加速し、6月4日に6万3660円まで上昇。いったん5日に5万9450円、8日に5万5020円まで調整したが、12日には一時7万1000円まで買われた。分割と還元を同時に打ち出した効果が、短期の利益確定売りをこなしながら再び評価された格好である。

■2023年分割後の経験則も支援材料

 同社株は2023年にも3月31日を基準日に1株を3株へ分割している。当時は権利付き最終売買日の終値4万8320円に対し、権利落ち後に理論値を下回る1万4810円まで調整した場面があった。しかし、その後は6万円台まで水準を切り上げた。株式分割そのものは企業価値を直接増やすものではないが、値がさ株の投資単位を引き下げ、個人投資家の参加余地を広げる効果がある。東京エレクトロンの値動きは、分割後の一時的な需給悪化よりも、中長期での参加者拡大効果が意識される局面に入ったことを示している。

■6月末分割銘柄に電線株が並ぶ

 この視点で注目されるのが、6月末を基準日とする株式分割予定銘柄である。3月末基準の分割銘柄ほどの集中度ではないものの、6月末も約30銘柄規模の分割が予定されており、個別株物色の材料として無視できない。なかでもAI、データセンター、電力インフラの成長テーマと重なる銘柄として、日東紡<3110>(東証プライム)古河電気工業<5801>(東証プライム)住友電気工業<5802>(東証プライム)が並ぶ。日東紡は1株を5株、古河電工は1株を10株、住友電工は1株を4株に分割する予定で、いずれも値がさ化した株価水準を引き下げる狙いが明確だ。

■古河電工、住友電工は増配期待も重なる

 古河電工と住友電工は、電線・光ファイバー・電力インフラ関連として市場の関心が高い。生成AIの普及に伴うデータセンター投資、電力網増強、光通信需要の拡大が追い風となり、株価は大きく水準を切り上げてきた。株式分割によって最低投資金額が下がれば、これまで資金量の面で手掛けにくかった個人投資家にも買いやすさが生まれる。加えて、株主還元の強化や増配期待が重なれば、分割は単なる形式的な資本政策ではなく、成長株から中長期保有株へと投資家層を広げる契機となる。

■フジクラの事例が示す参加者拡大効果

 参考になるのが、3月31日を基準日に1株を6株へ分割したフジクラ<5803>(東証プライム)である。同社株は分割発表後に上場来高値圏へ急伸し、権利落ち後はいったん理論価格を下回る場面があった。それでも分割後の株価水準が個人投資家に手掛けやすくなったことで、押し目買いが入りやすい地合いが生まれた。6月12日現在は4000円台で推移し、急騰後の調整を挟みながらも、電線株全体への関心はなお強い。

■分割は万能ではないが、再評価の入口になる

 もちろん、株式分割は業績を押し上げる材料そのものではない。権利落ち後には短期資金の売りや、急騰後の反動安も起こり得る。重要なのは、分割が成長期待、業績拡大、株主還元と同時に示されているかどうかである。東京エレクトロンの急伸と再上昇、フジクラの分割後の値動き、そして古河電工・住友電工・日東紡の大幅分割は、いずれも投資単位引き下げだけでなく、AI関連投資の広がりを背景とした再評価の入口として読める。6月末に向けて、株式分割銘柄は短期の権利取りだけでなく、中長期の参加者拡大効果を測る局面に入っている。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 16:00 | 特集