
■米イラン戦闘終結合意で「平和の配当」相場に期待
今度こそ間違いないだろうと、テレビニュースのアナウンサーがしつこく繰り返している。米国とイランの戦闘終結に関する覚書署名である。攻撃再開、戦闘中止と続いたスッタモンダの末に合意に至り、前週末14日、週明け15日にも署名式が行われるとも伝えられてきた。きょう15日の朝7時前には、NHKのサッカー・ワールドカップ日本―オランダ戦のライブ中継中に、トランプ大統領が戦闘終結の合意を完了したとSNSに投稿したとのテロップが流れた。6月19日に署名式を開催するとの後続ニュースも入った。世界中の市場関係者がホッとしたところだろう。期待させておいてハシゴを外す「マッチポンプ」は、「トランプ・ディール(取引)」そのものだけに、まずその心配が、いまのところ杞憂に終わる可能性があるからだ。
■米株続伸とFOMC通過期待がハイテク株を押し上げ
マーケットは、すでに戦闘終結の覚書署名を先取りして見切り発車してしまっている事情もある。前週末12日の日経平均株価は1802円高と急続伸し、1週間ぶりに6万6000円台を回復した。その後の米国市場も主要3株価指数がそろって続伸した。戦闘終結とともにホルムズ海峡が開放され、原油需給が緩和されるとして原油先物(WTI)が売られ、価格は下落した。インフレ再燃懸念の後退から長期金利も低下し、金利低下で相対的に割安感の高まったAI(人工知能)・半導体関連株が買い直され、大きく出直った。
同日のスペースXの超大型IPO(新規株式公開)も成功裏に通過し、スペースXへの資金流出懸念で高値調整していたSOX(フィラデルフィア半導体株指数)も続伸した。これでFRB(米連邦準備制度理事会)が、6月16日〜17日に開催予定のFOMC(公開市場委員会)で、市場が先取りした通り政策金利を据え置けば、再度、最高値奪回へ再発進し、「平和の配当」相場が有望となる。
■東京市場は日銀会合が独自カタリストに
この米国市場続伸は、週明けの東京市場にも波及しそうだ。とくにSOX続伸やハイテク株高は、トヨタ自動車<7203>(東証プライム)を上回って時価総額トップとなったキオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)や、前週末12日に実質の史上最高値を更新した東京エレクトロン<8035>(東証プライム)など、指数寄与度の大きい銘柄の連動高を促し、日経平均株価の最高値奪回を加速させる展開が有力となる。
ただ、米国市場と東京市場では、やや異なるカタリスト(株価材料)がある。日本銀行が、きょう15日、あす16日に開催する金融政策決定会合である。同じ中央銀行でも、FRBは金利据え置きの現状維持が観測されている一方、日銀は物価安定・インフレ抑制のため、政策金利を6カ月ぶりに0.25%引き上げ、1.0%に決定することが確実視されている。しかも、今回、体調不良で参加を見合わせる植田和夫総裁に代わって会合後の記者会見に臨む内田真一副総裁が、次回会合(7月30〜31日)での追加利上げを示唆するのではないかとも警戒されている。
■ハイテク株か銀行株か、週明けは二択相場に
この日米両市場の違いは、前週12日に年初来高値を更新した銘柄にも反映された。ハイテク株では東京エレクトロンやSCREENホールディングス<7735>(東証プライム)などの値がさ株が上昇し、銀行株では三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)や十六フィナンシャルグループ<7380>(東証プライム)などが高値を更新した。ハイテク株と銀行株がともに相場を押し上げる双発エンジン相場となったのである。
ということは、きょう週明けの東京市場では、二択問題を突き付けられることになりそうだ。ハイテク株と銀行株に代表されるバリュー株のいずれにリスクオンするのが正解か、どちらがより優位なパフォーマンスを発揮するかで、贅沢ながら悩ましい判断を迫られることになるはずである。そこで今週の当コラムでは、値ごろ的にまだ手掛けやすい水準にあり、PERが1ケタ台でPBRが1倍を割る割安株が多い銀行株にフォーカスすることにした。そのうえ、前週末の米国市場では、大手金融株のゴールドマン・サックスがスペースXの巨額IPO手数料を囃して大幅高したというおまけも付いている。
■金利上昇メリット株に割安修正の余地
もちろん、日銀の金融政策決定会合で政策金利が0.25%引き上げられれば、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東証プライム)、三井住友FG、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)のメガバンク3行合計で資金利益が3000億円程度上振れると試算されていることも支援材料となる。利ザヤ拡大や運用環境の好転にもつながる。中心はメガバンクとなるが、地銀株、さらにその他金融株などを含め、金利敏感特性を発揮する金利上昇メリット株の浮上を期待したいところである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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