
■降格銘柄にも割安修正期待
東京証券取引所の上場維持基準厳格化を背景に、市場区分変更をめぐる銘柄選別が進んでいる。2026年1月から6月までに昇格銘柄は22社、降格銘柄は17社、重複上場会社は14社を数え、7月から10月1日までに基準不適合による上場廃止要因に該当する会社もすでに13社に上る。
降格会社は「尻下がり銘柄」と評価される面もあるが、失望売りで割安感が強まった銘柄も目立つ。相場格言「人の行く裏に道あり 花の山」の視点から、降格会社や重複上場会社、なお上値余地を残す昇格銘柄の中から、リターン・マッチ余地のあるバリュー株を探る局面となっている。
■敢えてスタンダード市場を選択し半導体関連株人気で株価4倍化の先行ケースも
「尻下がり」の降格銘柄が、「尻上がり」銘柄に一変する実績を示したのはユニチカ<3103>(東証スタンダード)である。同社は、2025年3月末では不適合だった東証プライム市場の上場維持基準の流通株式時価総額を今年2月6日に適合させていたが、同3月25日にはあえて東証スタンダード市場に市場区分変更をすることを選択し、4月1日にスタンダード市場に上場した。
プライム市場にとどまった場合の開示体制負担や関連コストが大きく、経営資源を経営構造改革に集中し、収益力改善に取り組むことが企業価値の向上につながると判断した結果である。この市場区分変更を受け、株価はストップ安し、1005円まで急落した。
ところがその突っ込み場面から、AIデータセンター用半導体向けのガラス繊維の好調推移を手掛かりに、ストップ高に次ぐストップ高で上場来高値4380円まで4倍化した。買い一巡後は、今3月期業績が前期業績を押し上げた特別利益の一巡で減益転換することが響き、ほぼ往って来いの調整となったが、それでも足元のPERは13倍と売られ過ぎを示唆している。もう一度の「尻上がり」展開を待つところだろう。
■降格銘柄の64%が低PER圏に
ユニチカと同様に売られ過ぎを示唆している降格低PER株は、降格全17銘柄のうち11銘柄と64%を占める。
市場区分変更の時系列順にあげると、1月14日のダイレクトマーケティングミックス<7354>(東証プライム)以下、クロス・マーケティンググループ<3675>(東証スタンダード)、空港施設<8864>(東証スタンダード)、Ubicomホールディングス<3937>(東証スタンダード)、イノベーションホールディングス<3484>(東証スタンダード)、アイ・アールジャパンホールディングス<6035>(東証スタンダード)、タカミヤ<2445>(東証スタンダード)、シード<7743>(東証スタンダード)、スカラ<4845>(東証スタンダード)、神戸電鉄<9046>(東証スタンダード)と続き、PERは6倍〜15倍の評価である。
ダイレクトマーケティングがPER6倍、クロス・マーケティングGが8倍と10倍を割れ、スカラの配当利回りは5.1%、同じく空港施設、UbicomHD、タカミヤ、IRジャパンは4%を上回る。
■重複上場の記念増配上乗せの割安株やプライム市場昇格で最高値追いのバリュー株も
重複上場は、多くが東証の上場維持基準の厳格化で上場廃止となるリスクを回避する保険つなぎとともに、上場した他市場での認知度を高めてビジネスチャンスを拡大することを目的にしている。
今年2月18日から6月19日まで14銘柄が重複上場しており、東証スタンダード市場から名証メイン市場への上場が中心となっている。このなかで低PER銘柄を重複上場の時系列順にあげると、日本色材工業研究所<4920>(東証スタンダード、名証メイン)、システム・ロケーション<2480>(東証スタンダード、名証メイン)、シイエム・シイ<2185>(東証スタンダード、名証プレミアム)、清和中央ホールディングス<7531>(東証スタンダード、札証本則、福証本則)と続き、PERは10倍〜14倍にとどまっている。
清和中央HDは、昨年11月の札証本則市場への重複上場に次ぐ、今年6月の福証本則市場と2回目の重複上場であり、シイエム・シイは、今9月期期末配当に名証プレミアム市場上場記念配当2円を上乗せして年間57円(前期実績52円)に増配し、配当利回りは3.19%となる。
■昇格銘柄はTOPIX連動型ファンドの買い需要も期待
もちろん昇格銘柄は、市場区分変更銘柄では最重要ターゲットになり、とくに東証プライム市場に上場変更された銘柄は、東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄に組み入れられ、TOPIX連動型ファンドなどの買い需要が発生する需給好転が期待される。
プライム市場への市場区分変更は3銘柄で、スタンダード市場からがハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>(東証プライム)、グロース市場からがグロービング<277A>(東証プライム)とタスキホールディングス<166A>(東証プライム)の2銘柄である。このうちタスキHDは上場来高値追いとなっているが、PERは12.9倍、配当利回りは4.1%となお割安である。
グロース市場からスタンダード市場への昇格組は19銘柄を数えるが、このうち割安株をあげると、PER10倍のGreenBee<3913>(東証スタンダード)、13倍のCRI・ミドルウエア<3698>(東証スタンダード)、14倍のネットイヤーグループ<3622>(東証スタンダード)、16倍のフーバーブレイン<3927>(東証スタンダード)となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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