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2026年07月09日

【どう見るこの株】キオクシアホールディングス、AIストレージ需要で再評価、焦点は高収益の持続力

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■AIデータセンター需要が追い風

 キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)は、AIデータセンター向けストレージ需要の拡大を背景に、NANDフラッシュメモリー関連の中心銘柄として注目度を高めている。生成AIの学習・推論の広がりにより、高容量・高速・低消費電力のストレージ需要は拡大しており、同社の事業環境には強い追い風が吹く。

 株価は6月22日に11万2700円の年初来高値をつけた後、7月8日終値では7万1870円まで調整したが、7月9日前場には7万9950円、前日比8080円高まで上げて大幅反発した。前日の米国市場でSOX指数が大幅反発し、米サンディスクが6.8%高、韓国サムスン電子も約3%上昇したことが、国内半導体関連株への押し目買いにつながった。米国ではエヌビディアがアナリストの投資判断引き上げで上昇し、ブロードコムもアップルとのカスタム半導体開発契約の拡大見通しを材料に買われた。中東情勢の悪化による原油相場上昇も、相対的に半導体関連へ資金を向かわせる一因となっている。

■第10世代BiCSが成長ドライバー

 直近の重要材料は、第10世代3次元フラッシュメモリー技術の展開である。キオクシアとサンディスクは、岩手県北上市の北上工場第2製造棟で第10世代3次元フラッシュメモリーの生産を開始した。併せて、第10世代BiCS FLASHを用いた1TbのTLCメモリーデバイスのサンプル出荷も始めている。CBA技術を活用し、高性能・大容量・低消費電力を訴求する点が特徴で、エンタープライズおよびデータセンター向けの高付加価値品シフトが鮮明になっている。

■業績は市況回復とASP上昇で急改善

 2026年3月期は、連結売上収益が2兆3376億円、前期比37.0%増、営業利益が8703億円、同92.7%増、親会社所有者帰属利益が5544億円、同103.6%増と大幅増収増益となった。NAND市況の回復、ASP上昇、SSD&ストレージ事業の伸長が主因である。特に2026年1〜3月期は売上収益1兆29億円、営業利益5968億円と収益が急拡大し、高付加価値品の寄与が業績を押し上げた。

 2027年3月期第1四半期の会社見通しは、売上収益1兆7500億円、営業利益1兆2980億円、親会社所有者帰属利益8690億円である。達成されれば極めて高い利益率となる。ただし、メモリー事業は市況変動が大きく、同社は通期見通しを開示していない。このため市場は、足元の好業績が一時的な市況好転なのか、新たな収益ステージ入りなのかを見極める段階にある。

■株価評価は利益の継続力が焦点

 株価指標面では、実績PBRなど過去実績を基準にすると、期待先行の評価になりやすい。もっとも、会社が示す第1四半期見通しを前提にすれば、利益水準に対する見方は変わる。外部アナリストの平均目標株価は11万円台にあり、足元株価とのかい離はなお残る。ただし、その評価は高水準の利益が続くことを前提にしており、AI向けストレージ需要を背景とした高収益がどこまで続くかが株価の評価軸となる。ここが同社株の魅力であり、同時にリスクでもある。

■米半導体株高が短期反発を後押し

 7月9日前場の大幅反発は、同社固有の材料だけでなく、米半導体株高を受けた関連株全体の買い戻しが大きい。前日の米国市場でSOX指数が反発し、サンディスク、エヌビディア、ブロードコムなどが上昇したことにより、国内でも半導体・AI関連株への資金回帰が強まった。急落後の押し目買いが入りやすい地合いとなり、キオクシア株も短期的なリバウンド色を強めた格好である。

 一方、今回の反発を本格的な上昇トレンド再開とみるには、なお確認材料が必要だ。外部環境の改善で買われた面が大きいだけに、米半導体株の動向、NAND価格、AIデータセンター向け需要、次世代品の量産進捗がそろって改善基調を示すかが重要となる。

■信用需給と決算通過後の反応に注意

 信用需給では、信用買い残の重さが引き続き意識される。7月3日時点の信用買い残は1304万1400株、信用倍率は22.02倍と高水準にあり、戻り局面では利益確定売りや戻り売りが上値を抑える可能性がある。一方、買い残の減少は過熱整理の進展として前向きに見られる。業績期待が強い銘柄ほど、好決算でも材料出尽くし感から短期的に売られる場合があり、決算通過後の株価反応には注意したい。

■確認点は決算、生産進捗、米国ADS

 今後の確認点は、7月31日に予定される第1四半期決算で会社見通しを達成できるか、第10世代BiCSの生産立ち上がりが順調に進むか、サンディスクとの協業効果が収益性向上につながるかである。加えて、米国ADS上場準備は投資家層の拡大や企業価値向上につながる可能性がある一方、時期や市場、方法は未定であり、過度な先取りには慎重さも必要だ。

■判断は「高収益の継続力」で分かれる

 投資判断上の位置づけは、「成長材料は強いが、短期的には高期待の消化局面」となる。AIデータセンター向け需要、第10世代BiCS、北上工場第2製造棟、米国ADS上場準備という材料は明確であり、中長期の再評価余地は残る。一方、株価は年初来高値から大きく調整したとはいえ、好材料をなお相当程度織り込んでいる。利益率の鈍化、NAND価格の反落、生産立ち上がりの遅れ、信用需給の悪化が見えれば調整圧力は強まりやすい。キオクシア株の次の方向を決めるのは、材料の多さではなく、高収益の継続力である。

■売り・買い・見送りを分ける3つの判断材料

 3つの判断材料で整理すると、短期的な売り判断は、株価が急騰後の調整局面にあり、信用需給の重さも残る点を重視する見方である。7万円台まで調整したことで過熱感は一定程度和らいだが、7月9日前場の反発は外部環境に支えられた面もある。利益率の鈍化やNAND価格の反落が意識されれば、利益確定売りが再び優勢となる可能性がある。

 一方、買い判断は、AIストレージ需要の拡大が一過性ではなく、同社の収益ステージを引き上げるとの見方に立つ。第1四半期見通しの達成や第10世代BiCSの生産進捗が確認されれば、年初来高値から大きく調整した足元株価は、中長期の押し目買い候補となる。米半導体株高をきっかけに市場の関心が戻った点も、需給面では一定の支援材料となる。

 最も中立的な見方は、決算確認までの見送りである。成長材料は強いが、株価の期待値もなお高い。現時点では無理に売買判断を急がず、第1四半期決算、ASP、SSD需要、生産進捗、米半導体株の持続性を確認してから判断する姿勢が妥当である。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 12:33 | どう見るこの株