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2026年07月28日

【マーケットセンサー】銀行株は日銀会合後に再加速するか――急落相場で試される「金利上昇の利益化」

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■日経平均急落でも消えない銀行株の収益改善期待

 7月28日の東京株式市場は、日経平均が前場に一時2800円を超えて下落する波乱の展開となった。前日の反発から一転し、値がさ株を中心に売りが膨らみ、投資家のリスク回避姿勢が鮮明となった。前引けは2884円73銭安の6万2046円46銭。東証プライム市場では値下がり銘柄が値上がり銘柄を大幅に上回った。

 もっとも、こうした急落局面でも、銀行株を取り巻く基礎的な収益環境まで崩れたわけではない。長期金利の上昇や日銀による金融政策正常化は株式市場全体の株価収益率を押し下げる要因となる一方、銀行にとっては貸出金利の上昇や運用利回りの改善を通じ、資金利益を拡大させる機会となる。

 その先行例が十六フィナンシャルグループ<7380>(東証プライム)である。同社は7月22日、子会社の十六銀行で資金利益が従来想定を上回る見通しとなったことなどから、2027年3月期の通期経常利益予想を410億円から440億円へ、純利益を280億円から300億円へ引き上げた。年間配当予想も増額しており、金利上昇を業績と株主還元に結び付ける構図が明確になった。

■「利上げの有無」より総裁発言と長期金利が焦点

 日本銀行は7月30、31日に金融政策決定会合を開き、31日には政策決定と植田和男総裁の記者会見を予定している。

 今回の会合では、政策金利の変更そのものだけでなく、物価や賃金、円相場、国債市場に対する日銀の認識が重要となる。仮に政策が据え置かれても、追加利上げへの姿勢が維持されれば、銀行株の収益拡大期待は続く。一方、急激な長期金利上昇への警戒や国債市場への配慮が強く示されれば、利上げ期待が後退し、短期的には銀行株の利益確定売りを誘う可能性もある。

 銀行株を選ぶ際は「金利が上がれば一律に買い」と考えるべきではない。貸出金利と預金金利の差である預貸金利ざや、貸出残高、債券運用損益、預金獲得力、役務収益、信用コストを総合的に見る必要がある。金利上昇局面では貸出収益が増える半面、預金金利の引き上げや保有債券の評価損が利益を圧迫するため、資産・負債構成の違いが業績格差となって表れやすい。

■メガバンク決算は3社一斉ではない

 日銀会合後はメガバンクの第1四半期決算が焦点となる。発表予定日は、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東証プライム)が7月30日、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)が7月31日、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東証プライム)が8月3日である。

 注目点は国内の資金利益に加え、法人融資、海外事業、手数料収益、政策保有株式の売却益、与信費用、株主還元策である。金利上昇による増益効果が市場予想を上回れば、銀行株は日銀会合後も上値を追う展開となり得る。反対に、預金調達コストや債券損失、海外貸出の信用コストが膨らめば、金利上昇メリットだけを買ってきた相場は修正を迫られる。

■地銀は低PBRより「利益の質」を選別

 地方銀行では、低PER、低PBR、高配当だけを理由に買う局面から、資金利益の伸びを実際の増益や増配につなげられる銀行を選ぶ局面へ移りつつある。貸出残高が増えているか、地域企業への融資需要を取り込めているか、預金流出を抑えられているか、信用コストが管理されているかが重要となる。

 じもとホールディングス<7161>(東証スタンダード)筑波銀行<8338>(東証プライム)大光銀行<8537>(東証スタンダード)清水銀行<8364>(東証プライム)トマト銀行<8542>(東証スタンダード)など、指標面で割安感のある銘柄にも見直し余地はある。ただし、株価指標の低さは将来の収益力や財務上の課題を織り込んだ結果である場合も少なくない。自己資本の厚み、不良債権処理、配当の持続性まで確かめたい。

 7月28日の急落は、銀行株にとっても無風ではない。しかし、指数全体が不安定になるほど、政策期待だけで上昇してきた銘柄と、資金利益を着実に拡大できる銘柄の差は広がる。日銀会合は銀行株相場の終点ではなく、決算数字による本格的な選別相場の出発点となりそうである。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 19:29 | コラム