
■日経平均大幅続落でもトヨタは7%高
7月29日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比930円73銭安の6万1434円19銭と大幅続落した。一方、TOPIXは10.44ポイント高の3974.03と反発し、指数間で明暗が分かれた。値がさのAI・半導体関連株が日経平均を押し下げるなか、円安の恩恵が期待される自動車株には資金が向かった。
象徴的だったのがトヨタ自動車<7203>(東証プライム)である。終値は前日比216円高の3224円と7.18%上昇。高値3233円に迫る水準で取引を終え、売買高も6140万株を超えた。全面安の印象が強い相場で際立った強さを示した。
■想定為替との差が利益を押し上げるか
1ドル=163円台後半まで進んだ円安・ドル高は、輸入物価の上昇を通じて家計や内需企業の負担となる一方、海外売上高の大きい自動車関連企業には利益押し上げ要因となる。トヨタの2027年3月期の想定為替レートは1ドル=150円で、足元の実勢相場とは13円前後の開きがある。この水準が続けば、海外利益の円換算額には上振れ余地が生じる。
ただし、円安だけで業績上振れを判断するのは早い。8月4日に予定される第1四半期決算では、販売台数や車種構成、北米でのハイブリッド車需要、原材料価格、研究開発費、米国関税の負担などを総合的に確認する必要がある。円安効果が大きくても、関税や販売奨励金、電動化投資などの費用が増えれば、利益の押し上げ幅は縮小する。
株価は7月24日の2897円から29日の3224円まで4営業日で11%超上昇した。決算前の期待を相当程度織り込んだ可能性もあり、通期見通しが据え置かれた場合には、いったん材料出尽くしとなる展開にも注意したい。
■中古車、オークション、物流にも波及
円安局面では、完成車メーカーだけでなく中古車関連にも関心が広がる。ネクステージ<3186>(東証プライム)は、中古車販売台数や1台当たり粗利益、買取事業の収益性が焦点となる。中古車輸出を手掛けるアップルインターナショナル<2788>(東証スタンダード)、国内外で自動車販売を展開するVTホールディングス<7593>(東証プライム)、オセアニアを中心に自動車流通事業を展開するオプティマスグループ<9268>(東証スタンダード)も候補となる。
さらに、中古車オークションを運営するオークネット<3964>(東証プライム)や、車両輸送を手掛けるゼロ<9028>(東証スタンダード)などにも、自動車流通量の増加が追い風となり得る。
ただ、同じ中古車関連でも収益構造は異なる。円安は輸出採算を改善させる一方、海外需要の拡大で仕入れ価格が上昇すれば、国内小売の利益率を圧迫することもある。販売台数だけでなく、1台当たり粗利益、在庫回転日数、買取台数、オークション相場、海外売上比率を見極めたい。
7月29日の相場は、日経平均が大幅安となるなかでも、円安メリットと業績期待のある銘柄には資金が向かう選別色の強い展開だった。今後はトヨタの決算を起点に自動車株全体へ買いが広がるのか、それとも業績の裏付けを持つ銘柄だけが選ばれるのかが焦点となる。円安を利益に変える価格決定力、販売力、在庫管理力を備えているかが、銘柄選別の鍵となりそうだ。
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