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2026年08月02日

【マーケットセンサー】円急騰が変える日本株の構図――介入観測と日銀利上げ、米国株高を読む

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■歴史的円安に立ちはだかる「政策の壁」

 外国為替市場が大きな転換点を迎えている。7月30日の海外市場では、1ドル=160円台まで下落していた円相場が急反発し、政府・日銀による円買い・ドル売り介入との観測が広がった。さらに31日のニューヨーク市場でも円が上昇し、米財務省が円を直接買い入れたと英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。ニューヨーク連邦準備銀行が民間金融機関を通じ、ユーロを売って円を買ったとされる。米国が日本とともに円相場を支える介入は2011年以来で、円安是正を目的とする円買いでの協調となれば1998年以来28年ぶりとなる。

 読売新聞も8月2日付朝刊で、日米両政府が協調介入に動く方向だと報じた。ただし、8月2日午前8時時点で日米当局は介入額や実施方法を正式には発表していない。報道通りなら、市場に対して「160円を超える一方的な円安を日米が容認しない」との強いメッセージになる。投機的な円売りには、日本単独の介入時より大きな警戒が必要となる。

■介入だけでは円安を止められない

 今回の円急騰が突き付けたのは、円安を前提とした株式投資の危うさである。円安は自動車、機械、電機など輸出企業の海外利益を円換算で押し上げる。しかし、介入が意識される局面では、短時間で数円規模の円高が進み、為替差益を織り込んだ業績期待が急速に後退する可能性がある。

 もっとも、介入だけで中長期的な円安基調を反転させるのは容易ではない。日米金利差、原油高による輸入負担、日本の財政への警戒、国内投資家の海外投資など、円売りの背景は複合的である。介入には投機的な円売りを巻き戻し、相場の変動速度を抑える効果があるが、金利差が縮まらなければ円安圧力は再燃し得る。

 日銀は7月31日の金融政策決定会合で政策金利を1%程度に据え置いた。6月の利上げ直後で連続利上げを見送った一方、高田創審議委員は1.25%への引き上げを提案した。円安や原油高による物価上昇が続けば、追加利上げの可能性は高まる。日米協調介入と日銀の利上げが組み合わされれば、日米金利差の縮小を通じて円高が定着しやすくなる。

■米国株高でも広がる企業間格差

 日本株を支える米国市場では、7月31日にS&P500種株価指数が0.70%高、ナスダック総合指数が1.00%高、ダウ工業株30種平均が0.53%高となった。好決算を発表したアマゾンが15%超上昇し、クラウドやAIへの巨額投資が収益につながるとの期待が強まった。一方、アップルは先行きへの懸念から7%超下落した。主要指数は上昇したものの、全面的なリスク選好ではなく、AI投資を利益へ結び付けられる企業と、成長力を疑問視される企業の選別が進んでいる。

■円安依存から「為替耐性」の選別へ

 円高は輸出企業には逆風だが、食品、小売り、外食、運輸、電力・ガスなどには輸入原材料や燃料費の低下を通じた採算改善要因となる。追加利上げ観測が強まれば、利ざや改善が期待される銀行や、運用収益の増加が見込まれる保険にも資金が向かいやすい。

 ただ、輸出株を一律に売り、内需株や金融株を一律に買う局面ではない。今後重視すべきなのは、ドル・円の特定水準ではなく、為替が大きく変動しても利益を確保できる価格転嫁力、競争力、受注残、財務基盤である。日米協調介入が現実となれば、「円安が続けば輸出株を買えばよい」という単純な構図は崩れる。為替差益ではなく、本業の成長力で利益を伸ばせる企業を選別する相場に入ったとみるべきだろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:00 | コラム