
■可視光を透過し近赤外光を選択吸収、最大20%超の外部量子効率
artience<4634>(東証プライム)は8月4日、大阪大学、東京大学、青山学院大学などとの共同研究グループが、人の目には見えない近赤外光で発電する無色透明な有機太陽電池の開発に成功したと発表した。可視光をほぼ透過し、近赤外光だけを選択的に吸収する有機半導体材料を開発。建物や自動車の窓ガラスを、景観や採光性を損なわない発電設備として活用する道を開いた。
有機太陽電池は軽量で薄く、曲げられる特性を持つ一方、従来は可視光を吸収するため着色して見え、窓やウェアラブル端末への利用に課題があった。研究グループは精密な分子設計によって、肉眼ではほぼ無色透明に見える薄膜を実現。太陽光の約3〜4割のエネルギーを占める近赤外光を電力に変換する技術を確立した。
■窓が発電所に、脈拍検出にも成功
開発した分子は近赤外光を吸収した後に電荷を生じやすく、薄膜内で効率よく輸送できる。発電層に組み込んだ太陽電池は、高い可視光透明性を維持したまま作動し、近赤外光領域で最大20%を超える外部量子効率を示した。建物や自動車、農業用ハウスの窓など、これまで設置が難しかった場所への導入が期待される。
さらに、近赤外光の一部を吸収することで遮熱効果や空調電力の削減も見込まれるほか、同デバイスを用いた脈拍検出にも成功した。目立たず装着できるヘルスケア用ウェアラブル端末や、環境光で動く自己電力供給型センサーへの応用も視野に入る。研究成果は米国化学会誌『Journal of the American Chemical Society』オンライン版に8月4日付で掲載された。
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