
■6万6000円台回復、AI株高の裏で「円158円」と長期金利2.8%が警告
8月10日の東京株式市場は大幅反発し、日経平均株価は前週末比1363円51銭高の6万6970円22銭、TOPIXも4100.61へ上昇した。米雇用減速を受けた金融政策への期待やAI・半導体株への買いが指数を押し上げた一方、ドル・円相場は158円台まで円安方向に振れている。7月31日の日米協調円買い介入を経てもなお、円安圧力は消えていない。
■日米協調介入でも円高定着せず、「為替の1円」が政治を動かす
いま市場を動かしているのは企業決算だけではない。為替の1円、長期金利の0.1%、食品価格の数%が家計を通じて政権支持や政策判断に直結する「政治相場」が本格化している。日米両政府は7月31日に円買い介入へ踏み切り、さらなる協調も辞さない姿勢を示した。しかし、円相場が再び158円台へ押し戻されたことは、介入だけでは円安の基調を変えにくい現実を映す。
■米雇用減速と日銀1%、次は「日米金利差」の行方
米7月雇用統計では非農業部門雇用者数が2万3000人減少し、失業率は4.1%だった。米金融引き締め観測が後退すれば米金利には低下圧力が掛かる。一方、日銀は6月に政策金利を1.0%へ引き上げた。日本の10年国債利回りも8月10日は2.8%台で推移しており、9月17〜18日の日銀会合に向けて追加利上げの思惑が強まれば、日米金利差縮小が再び円高材料となる。
■食料品減税は「内需株買い」か「財政不安」か
高市政権は食料品の消費税率を8%から1%へ2年間引き下げ、残る1%相当を給付で補う方針を打ち出した。家計支援には追い風だが、年間約5兆円規模の減収をどう補うかが焦点となる。財源への不信が強まれば国債利回り上昇と円売りを招き、輸入物価を再び押し上げかねない。減税そのもの以上に、市場は「財源」を値踏みする。
■狙うのはAI、銀行、円高メリット株の循環
今後は「円高なら輸出株売り」という単純な相場ではない。米金利低下ならAI・半導体など成長株、国内金利上昇なら銀行株、円高が進めば食品、小売り、外食など円高メリット株へ資金が向かいやすい。8月27〜29日のジャクソンホール会議、9月のFOMC、日銀会合へ政策イベントが続く。日経平均が大幅高となった8月10日こそ、次の焦点は株価そのものではなく「円・金利・財政」である。政治の一言が企業決算並みに株価を動かす夏は、まだ始まったばかりだ。
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