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2026年08月13日

カバー、1Q営業利益33%減も限界利益率改善、ゲーム・TCG・海外展開で2Q以降の回復焦点

(決算速報)

■マーチャンダイジング22%減もライブ109.6%増、ライセンスも堅調

 カバー<5253>(東証グロース)は、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営し、配信・コンテンツ、ライブ・イベント、グッズ、ライセンスなどへIPを多面的に展開している。2027年3月期第1四半期の単体決算は、売上高が前年同期比8.3%減の88億2500万円、営業利益が同33.0%減の6億5100万円、経常利益が同35.8%減の5億9800万円、四半期純利益が同40.1%減の4億1500万円となった。通期業績予想は据え置いた。

 減収の主因は、タレント構成やコミュニティ環境の変化、トレーディングカードゲームの新商品販売スケジュールや商品構成の差異、卒業タレント関連商品売上の剥落、EC商品の製造・販売オペレーション移行に伴う欠品や品ぞろえ不足である。配信/コンテンツは3.8%減の20億9200万円、主力のマーチャンダイジングは22.1%減の45億4600万円となった。一方、ライブ/イベントは109.6%増の9億800万円、ライセンス/タイアップは8.2%増の12億7900万円と伸長し、減収を一部補った。同社はVTuber事業の単一セグメントで、これらはサービス分野別の売上分類である。

■限界利益率は44.8%へ改善、固定費先行で営業利益率は7.4%

 利益面では、売上総利益が8.4%減の44億9300万円となり、売上総利益率は50.9%と前年同期の51.0%からほぼ横ばいだった。一方、収益性の高いライセンス分野の伸長などにより、会社が重視する限界利益率は前年同期の43.1%から44.8%へ1.7ポイント上昇した。売上高が減少するなかでも限界利益率が改善した点は、収益構造をみるうえで注目される。

 営業利益率は前年同期の10.1%から7.4%へ低下した。会社側は現在を持続的成長に向けた基盤強化の投資期と位置づけ、タレントマネージャーやコンテンツディレクターの増員、クリエイティブ制作体制やスタジオ環境の強化、サプライチェーン・マネジメントの最適化、全社オペレーション体制の強化を進めている。こうした固定費投資が先行したことが利益率低下の要因となった。ただ、販管費は前年同期の39億3500万円から38億4100万円へ減少しており、今後は売上回復を利益成長につなげられるかが焦点となる。

■「hololive Dreams」は期初想定上回る、ゲーム事業の柱化に注目

 2Q以降の注目材料は、7月23日に全世界同時リリースした同社初のスマートフォンゲーム「hololive Dreams」である。事前登録者数は160万人を突破し、正式サービス開始初日に100万ダウンロード、足元では200万ダウンロードを超えた。リリースした全ストアのセールスランキングで1位を獲得し、会社側は関連実績がすでに期初想定を上回って推移しているとしている。ゲーム分野を持続性の高い事業の柱へ育成できるかが注目される。

 さらに、次世代タレント育成プロジェクト「mekPark」で2ユニットが活動を開始したほか、トレーディングカードゲームの新商品投入と海外販売、北米・東アジアを中心とする海外ライセンス・タイアップの拡大を進める。原宿の公式店舗によるリアルなファン接点の拡大、自社ECの納期短縮などのUX改善も進めており、第1四半期に生じた機会損失の解消とマーチャンダイジング収益の回復もポイントとなる。

■通期営業利益70億円据え置き、ゲーム・新規タレントは保守的に織り込む

 2027年3月期通期予想は、売上高が前期比4.1%増の513億5000万円、営業利益が同0.8%減の70億円、経常利益が同1.0%減の70億円、当期純利益が同62.4%増の49億円を据え置いた。第2四半期累計では売上高222億7000万円、営業利益19億3000万円、経常利益19億3000万円、純利益13億5000万円を見込む。第1四半期時点の上期予想に対する進捗率は、売上高39.6%、営業利益33.7%、経常利益31.0%、純利益30.7%となる。

 会社側は予算策定で「保守的なアプローチ」を採り、大型スマートフォンゲームの寄与や新規タレントのデビューによる影響を現時点では保守的に予算化している。これらが想定を上回れば業績のアップサイド要因になるとの見方を示す。また、前期に実施した商品在庫の除却・評価減約18億円に関連する一時費用の影響解消や、TCG、ライセンス/タイアップ領域の拡大などを今期の利益押し上げ要因として見込んでいる。

 中期経営目標も維持し、2030年3月期に売上高1000億円、営業利益250億円以上を目指す。「量的拡大」から収益の質と資本効率を意識した「質的拡大」へ移行し、成長投資・M&Aには累計500億円程度の枠を設定した。第1四半期には自己株式の公開買付けを実施し、187万9700株、29億9900万円の自己株式を取得しており、成長投資と資本効率を意識した機動的な株主還元を並行する。

■株価は年初来安値から4割超戻す、2Qの利益回復が焦点

 株価は8月12日の通常取引を前日比20円高の1630円で終えた。年初来高値は1月9日の1923円、年初来安値は6月26日の1141円で、安値から約43%戻した。8月12日終値ベースの予想PERは21.84倍、実績PBRは5.36倍。会社予想配当は年間0円である。

 第1四半期は減収減益となったものの、ライブ/イベントの大幅伸長、ライセンス収益の拡大、限界利益率の改善が確認された。今後は「hololive Dreams」の収益寄与、ECオペレーションの正常化、TCGの新商品・海外展開、海外ライセンスの拡大が2Q以降の売上・利益回復につながるかが焦点となる。株価は年初来安値から大きく戻しており、次の評価材料は通期営業利益70億円の達成に向けた利益進捗となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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