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2026年08月15日

人は人 我は我なり、株もまたしかり=犬丸正寛の相場格言

【先人の教えを格言で解説!】
(犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に残した相場格言を定期的に紹介。)※最新の情報に修正を加えてあります

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■人は人 我は我なり、株もまたしかり

 「人は人、我は我なり」。他人は他人、自分は自分であり、それぞれに違いがあってよいという考え方である。人が一人ひとり違うように、株式市場に上場する銘柄にも、それぞれ異なる個性がある。周囲と比べて焦るのではなく、その違いを理解することが、人にも投資にも大切だという教えである。

 人は社会の中で生活している以上、どうしても他人と自分を比べてしまう。「あの人はうまくいっているのに、自分はなぜ思うようにいかないのか」「自分の選択は間違っているのではないか」と不安になることもある。しかし、人にはそれぞれ異なる性格や能力、環境、歩む速度があり、誰かと同じように進まなければならないわけではない。「人は人、我は我」と考え、自分なりの尺度や判断軸を持つことが、心を安定させるうえで重要である。

■株価が上がるタイミングは銘柄ごとに違う

 この考え方は、株式投資にもそのまま当てはまる。相場全体が大きく上昇する局面では、多くの銘柄が同じ方向に動くこともあるが、通常はすべての銘柄が同じタイミング、同じ値幅で上昇するわけではない。ある銘柄が大きく値上がりする一方、自分の保有株はほとんど動かない。市場で話題の銘柄が次々と上昇し、自分の銘柄だけが取り残されているように見えることもある。

 こうした場面では、「なぜ自分の株だけ上がらないのか」と焦りやすい。しかし、それぞれの銘柄には業種、企業規模、業績、成長性、株主構成、人気度など固有の特徴がある。株価が注目される時期も、買われる理由も、値動きの大きさも異なる。人に個性があるように、株にもまた「個性」があるのである。

■「ほかの株が上がっている」という理由だけで焦らない

 投資で注意したいのは、他の銘柄と比較することで生まれる焦りである。自分が持っていない銘柄が急騰すると、「こちらに乗り換えたほうがよいのではないか」と考えたくなる。次々と値上がりする銘柄を目にすれば、保有株を待つことが急につまらなく感じられることもある。

 だが、「ほかの株が上がっているから」という理由だけで投資判断を変えてしまえば、本来持っていたはずの自分の投資基準を失いかねない。株価には、それぞれ動くタイミングや順番がある。相場の中心となる大型株が買われる時期もあれば、その動きが一服した後に中小型株や新興市場へ資金が向かうこともある。それまで人気のなかった業種が、相場環境の変化によって突然注目されることもある。つまり、「今動いていない」という事実だけで、その銘柄に価値がないと決めつけることはできないのである。

■大切なのは「その株らしさ」を知ること

 投資家に求められるのは、株価が動かないことに苛立つのではなく、その銘柄がどのような特徴を持っているのかを理解することである。どのような相場環境で買われやすいのか。業績が評価される銘柄なのか、成長期待で買われる銘柄なのか。それとも市場全体が落ち着いた時に物色されやすい小型株なのか。値動きが比較的ゆっくりなのか、材料が出ると一気に動くタイプなのか。こうした「その株らしさ」を日頃から観察しておくことが大切になる。

 その特徴を理解していれば、ほかの銘柄が上昇しているからといって必要以上に焦ることは少なくなる。むしろ、他銘柄との違いを知ることで、「なぜ今は動いていないのか」「どのような局面になれば注目される可能性があるのか」を冷静に考えられるようになる。

■他人の成功ではなく、自分の投資軸を見る

 現在は、株価情報や投資情報が瞬時に広がる時代である。急騰銘柄や大きな利益を上げた投資家の話を目にする機会も多く、以前にも増して他人の投資成果と自分を比べやすくなっている。しかし、他人の利益は、自分の投資判断とは別のものである。

 短期売買を得意とする人もいれば、長期で企業の成長を待つ人もいる。値動きの大きな銘柄を好む人もいれば、安定した銘柄をじっくり保有する人もいる。どれが絶対に正しいということではない。重要なのは、自分がどのような考え方で投資し、どの程度の値動きやリスクを受け入れられるのかを理解しておくことである。

 株にも個性があり、投資家にも個性がある。「人は人、我は我なり。株もまたしかり」。周囲の値動きや他人の成功に振り回されるのではなく、自分の投資軸を持ち、保有する銘柄の特徴を理解したうえで、その銘柄が評価される局面を冷静に待つ。比較から生まれる焦りを抑え、「違い」を受け入れることこそ、この格言が現代の投資家にも伝えている大切な教訓といえるだろう。

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 13:00 | コラム