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2026年08月17日

【どう見るこの相場】キオクシアHD、8月相場で持ち直し、AI株調整後のリバウンドが市場の焦点

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■WTI・債券・金が形成する三つ巴、ホルムズ海峡情勢が相場の変数

 三つ巴というべきか、三すくみと言い換えるべきか悩ましい。原油先物(WTI)価格と債券価格、金先物価格のトライアングル関係である。WTI価格が上昇すれば債券は売られて長期金利は高くなり、金先物価格もツレ安する。そのWTI価格は、原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡のタンカー通航状況に左右され、米国とイランの停戦交渉の成否がカギを握っている。トランプ大統領は、イスラエルとともにイランへの空爆を開始した今年2月末、イランは短期間で白旗をあげるとの見通しを示したが、それから半年近くを経ても交渉は難航し、出口戦略を模索する状況が続いている。

■AI株の失速でバリュー株との選別色強まる

 イランが非対称戦略を選択し、ホルムズ海峡を事実上の交渉カードとしていることが対応を難しくさせている。米国は、シェールオイル革命で世界最大の産油国に返り咲き、原油の供給不安は相対的に小さいものの、WTI価格の上昇が物価を押し上げ、インフレ懸念から長期金利が上昇するという副作用を抱えている。この三つ巴・三すくみ状況も、AI株が高値をキープしていれば、一時的なノイズにとどまったはずだった。ところが、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の過剰投資懸念や中国AI企業の追い上げなどを背景に、6月に相場をけん引したAI株が7月に大きく失速し、マーケットにAI株かバリュー株かの選択を迫るほど不安定化した。

■キオクシアの値動きが映す「ツルハシ銘柄」の調整

 東京市場でも、AI関連の「ツルハシ銘柄」が大きく調整した。「ツルハシ銘柄」とは、19世紀の米国のゴールドラッシュで、一攫千金を目指す採掘者よりも、その採掘者にツルハシやスコップを売る事業者の方が安定した利益を上げたという故事になぞらえた銘柄群である。半導体製造装置株、光ファイバー株、素材株、フィジカルAI株、メモリ半導体株などへ関連人気が次々と連鎖した。メモリ半導体のキオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)は、6月22日に上場来高値11万2700円まで買われた後、ストップ安を連発し、7月30日には3万6020円まで売られ、ほぼ3分の1近くまで値を消す急落となった。ただ、8月相場入りとともに持ち直し、7月安値からは2万円超底上げし、上値抵抗線となっている25日移動平均線の突破を試す動きを続けている。同社株が、株式分割の権利取りなども交錯するなかでさらにリバウンド幅を拡大させるかどうかは、8月相場全般の方向性を占う材料となりそうだ。

■「草鞋を作る人」に業績上方修正、コモディティへ時間差波及

 しかしである。日本には「箱根山、駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」という、産業の裾野の広がりを端的に示す言葉がある。この「草鞋を作る人」は、米国の「ツルハシ銘柄」と対をなす存在であり、いわば「ツルハシ銘柄2.0」ともいえる。実は、この「草鞋を作る人」に相当する企業が、今年7月から8月にかけての決算発表で相次いで業績を上方修正した。しかもAI関連の向こうを張るコモディティ(商品)関連として存在感を高めている。相場トレンドは、ハードよりソフト、リアル(現実)よりバーチャル(仮想現実)、コモディティよりAIへと高度化してきたとされるが、ここにきて一部に逆流が起こっている可能性がある。あるいは、AI需要の拡大がタイムラグを置いてコモディティ関連企業の業績を押し上げ始めたとみることもできる。

■三菱マテリアルなどに上方修正、金属価格上昇を収益化

 例えば三菱マテリアル<5711>(東証プライム)である。同社は今年8月6日、今3月期第1四半期決算とともに今期業績の上方修正を発表し、純利益は前期比3.4倍と大幅増益となり、19年ぶりの過去最高更新を見込んだ。中国の輸出規制によるレアメタルのタングステン価格急騰や、銅、金などの金属価格上昇を取り込んだ結果である。これに先立ち、今年7月にはドイツのタングステン・リサイクル大手を子会社化し、リサイクル能力を40%増強している。また、同業態の日本タングステン<6998>(東証スタンダード)も、タングステン価格上昇を価格転嫁し、今3月期第2四半期業績を上方修正するとともに、中間配当を増配した。

■レアアース供給不安とAI需要が相乗、業績上振れ広がる

 8月15日付の日本経済新聞によると、中国からの今年上期(1月〜6月)のレアアース輸入量は急減し、ジスプロシウムで82%減、イットリウムで72%減となった。このサプライチェーン問題を背景に価格が急騰し、三菱マテリアルや日本タングステン以外のレアアース関連株にも波及、業績の上方修正に踏み切る企業が相次いだ。AI需要の拡大と地政学リスクが重なり、業績上振れの波がここにきて「ツルハシ銘柄2.0」、あるいは「草鞋銘柄」にまで及んできた格好である。しかも後発銘柄だけに、低PER・低PBR水準にとどまる銘柄も多く、投資妙味を示唆している。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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提供 日本インタビュ新聞社 Media-IR at 09:06 | どう見るこの相場