
■18日は一時6万3350円まで上昇、前日急騰後も6万円台を維持、AIストレージ需要が焦点
キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)は18日、前日の15%高を受けて売り買いが交錯している。6万1000円で始まり、寄り付き直後には6万200円まで下押した一方、午前9時11分には6万3350円まで上昇。その後は利益確定売りに押され、午前10時06分現在は720円安の6万1120円となっている。前日比では反落しているものの、6万円台を維持しており、急騰後の値固めに移れるかが当面の焦点となる。
前日17日は8100円(15.07%)高の6万1840円と急伸し、日経平均株価を約190円押し上げた。アドバンテストと合わせた押し上げ幅は約409円に達し、日経平均が506円45銭高の6万9220円25銭と5営業日続伸するうえで大きな役割を果たした。指数上昇が一部のAI・半導体関連株に強く支えられたことを象徴する値動きだった。
■7月安値から7割超反発、急落後の戻り相場は新局面へ
株価の振幅は依然として大きい。6月22日に年初来高値11万2700円を付けた後は調整色を強め、7月30日には3万6020円まで下落した。しかし、17日終値の6万1840円まで戻したことで、7月安値からの反発率は7割を超えた。8月12日の4万9870円から17日までだけでも24%上昇しており、短期間で投資家の評価が大きく変化している。
このため18日の相場で重要なのは、さらに上値を追うかどうかだけではない。前日の大幅高に対する利益確定売りを吸収しながら、6万円台を維持できるかがポイントとなる。18日は一時6万3350円まで上値を伸ばしており、前日の急伸だけで買いが途切れたわけではない。一方で6万円近辺まで押し戻される場面もあり、短期資金による値動きの大きさには引き続き注意が必要となる。
■生成AI需要が業績を押し上げ、SSD&ストレージが成長を主導
株価を支える最大の材料は業績である。7月31日に発表した2027年3月期第1四半期の売上収益は1兆7671億円、営業利益は1兆2700億円、Non−GAAP営業利益は1兆3262億円となった。売上収益は前年同期比415.5%増と大幅に拡大した。会社側は生成AI用途を中心としたデータセンター向け需要が旺盛に推移し、平均販売単価が大幅に上昇したことなどを増収要因に挙げている。
とりわけ注目されるのが「SSD&ストレージ」である。同部門の売上収益は1兆1747億円となり、前四半期の6003億円から5744億円増加した。キオクシアHDはフラッシュメモリ市場について、スマートフォン、PC向け需要が堅調なほか、データセンターやエンタープライズ分野ではAI用途サーバー向け需要が増加し、市場拡大が続いているとしている。
生成AI相場ではこれまでGPUなど演算半導体への関心が先行してきたが、AIモデルの高度化とデータ量の増大に伴い、データを大量に保存し、高速で読み書きするNANDフラッシュやSSDの重要性も高まっている。キオクシアHDの業績拡大は、AI投資の恩恵が演算領域からストレージ領域にも広がっていることを示す材料として注目される。
■8000億円の自己株取得終了、今後は「業績相場」への移行が焦点
需給面では大きな転換点を通過した。キオクシアHDは7月31日、上限3000万株、取得総額8000億円とする自己株式取得枠を設定。その後、8月3日から10日までに1613万3500株を7999億9768万9000円で取得し、自己株式の取得を終了した。
自己株取得は需給面の支援材料として意識されてきただけに、今後は買い付け終了後も好業績やAIストレージ市場の成長期待を背景に投資資金が流入するかが重要になる。18日の株価が前日の急騰後も6万円台を維持している点は、その意味でも注目される。短期的には自己株取得という需給要因から、利益成長を評価する「業績相場」へ移行できるかを見極める局面となりそうだ。
■10月1日に1株を3株へ分割、投資単位引き下げも材料
株式分割も控えている。同社は9月30日を基準日として普通株式1株を3株に分割し、10月1日を効力発生日とする。会社側は投資単位当たりの金額を引き下げ、投資しやすい環境を整えることで投資家層の拡大を図るとしている。
現在の株価水準では100株単位の投資金額が600万円を超えるため、3分割後は単純計算で株価水準と最低投資金額が3分の1になる。株式分割自体が企業価値を直接変化させるものではないが、流動性向上や投資家層拡大への期待は需給面の材料となる可能性がある。
■第9世代QLCでAIストレージを開拓、「記憶装置」が次の成長軸
技術面でもAIを軸とする展開が続いている。キオクシアとサンディスクは8月12日、AIおよびデータ集約型アプリケーション向けの第9世代2Tb・QLC3次元フラッシュメモリ技術を発表した。両社独自のCBA技術を活用し、6プレーン構造などによって読み書き帯域と電力効率を改善。NANDインターフェース速度は第8世代比33%向上となる4.8Gb/秒を実現した。
AIインフラの拡大では、計算能力だけでなくデータの保存容量、転送速度、消費電力がシステム全体の性能を左右する。AI関連株への物色がGPUなどからNAND、SSD、ネットワーク、電力設備などインフラ周辺へ広がる展開となれば、フラッシュメモリ大手であるキオクシアHDへの関心が続く可能性がある。
■6万円台定着が次の焦点、「AIメモリ第2波」の試金石に
もっとも、株価は7月30日の3万6020円から短期間で7割超上昇しており、目先の過熱感や利益確定売りには注意が必要である。6月22日の高値11万2700円にはなお距離があり、今後はNAND価格、AIデータセンター向け投資、SSD需要、次四半期の収益動向を一つずつ確認する局面となる。
それでも、17日に日経平均を約190円押し上げる15%高を演じ、翌18日も一時6万3350円まで買われた値動きは軽視できない。前日の急騰をこなしながら6万円台を固めることができれば、7月末の急落からの戻りは単なる自律反発から一段進み、業績拡大を織り込む相場へ移行する可能性が出てくる。
8月後半の焦点は、キオクシアHDの上昇が同社だけにとどまるのか、それともNANDフラッシュ、SSD、半導体製造装置など周辺分野へ物色が広がるのかにある。AI相場が演算半導体中心の局面から「記憶」と「保存」を担うストレージ分野へ裾野を広げるなら、キオクシアHDは「AIメモリ相場第2波」を占う代表銘柄として引き続き目が離せない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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